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“親ガチャ”は現実にあるのに「貧困は怠慢のせい」と叩く人たちの無知

家を失って、悪循環を抜け出せない

家がなければ、安定した仕事を探そうにも受け入れ先が見つからない。そしてスマートフォンがないと採用担当者とのやりとりも難しく、職探しは困難をきわめる。こうした悪循環にはまってしまうと、そこから抜け出すのは容易なことではない。日雇い派遣などの仕事をこなしていても、家を借りるには初期費用だけでも数十万円はかかるし、そもそも審査に落ちやすい。 家がなければ就労は難しい。安定した仕事がなければ、家を借りることもままならない。

生活保護の窓口で追い返されることは多い

生活保護制度に頼りたくても、窓口で「まだ若いから働けるでしょう」「家族に援助してもらってください」と追い返されてしまうケースは多い。そうしてセーフティネットからこぼれ落ちた人々を支援に繋げようと、民間のNPO団体など支援者側がいくら努力してアウトリーチ(行政や支援機関が積極的に働きかけて、生活困窮者に情報や支援を届けるプロセスのこと)しようとしても、困窮者が情報をキャッチできず、その網目にすら引っかからない人たちも存在している。 そうした人々の存在がこのコロナ禍でメディアに大きく取り上げられるなどして、多くの人の目に留まったことは非常に意義深いことだと思っている。 「親ガチャ」という言葉は、もう努力してもどうにもならないほど追い詰められてしまった人たちの悲鳴が言語化され、共感を集めたものではないか。 【文中で取り上げた実録マンガはこちら】⇒コロナ貧困者の声「安全な場所にいるお前らに、俺らの気持ちがわかるか!」 <文/吉川ばんび>
1991年生まれ。フリーライター・コラムニスト。貧困や機能不全家族、ブラック企業、社会問題などについて、自らの体験をもとに取材・執筆。文春オンライン、東洋経済オンラインなどで連載中。著書に『年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声』 twitter:@bambi_yoshikawa

年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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