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「タイムラインの王子様」カツセマサヒコが小説家になった理由

「一緒にいて優しくなれる人と付き合ったらいいし、一緒にいて楽しくなれる人と歩んだらいいし、一緒にいて恥じらいなく泣ける人と生きたほうがいいし、一緒にいてきちんと叱ってくれる人と過ごすべきだし、でもそんな人なかなかいないからこの文読んで思い浮かべた人を大事にすべきだと思う」 カツセマサヒコ この’17年8月7日の投稿で、3万RT、8万いいねを獲得。ツイッターで140文字の恋愛や妄想のつぶやきが若者たちの共感を呼び、フォロワー数はいまや14万人を超え、「タイムラインの王子様」とも呼ばれるカツセマサヒコ。本業はライターだった彼が自身初の小説『明け方の若者たち』を発表するやいなや、予約段階で重版が決定した。なぜいま、彼が紡ぎ出す世界に注目が集まるのか。小説の舞台となった「明大前」で聖地巡礼をしながら、新鋭作家の気になる素顔に迫った。

マーケティングを意識して狙い撃ちの投稿をしている

――「タイムラインの王子様」と呼ばれるまでの経緯を教えてください。 カツセマサヒコ(以下、カツセ):ツイッターの開設は約10年前。最初は会社や満員電車に対する愚痴という、典型的なサラリーマン的なつぶやきで、フォロワー数は300人程度でした(笑)。当時はちょうど「ミクシィ」から「ツイッター」への転換期で、ライターになって恋愛妄想系のつぶやきをしたら、すごくバズったんです。中学時代、ネットのポエム投稿サイトに毎日ポエムを5年間も投稿し続けた過去があるんです。僕の闇時代です(笑)。 ――なるほど。だからポエム的なつぶやきが得意ということで。 カツセ:デビュー作の主人公と同じで、僕も“何者”かになりたかったんです。大学卒業後にクリエイティブな仕事がしたくて印刷会社に就職したのに、結果はなんでも屋の総務部。誰かに見てもらいたい、認められたいという気持ちで日々の出来事をブログで綴ったら、当時従業員5人のベンチャー系編集プロダクションから誘いを受けてライターになれた。  そこから「もっとフォロワー数を増やすにはどうしたらいいか」と徐々に“マーケティング”を意識するようになりました。現在14万人のフォロワーがいますが、「14万人中の1400人がいいねをつけるつぶやきはどういう内容なのか?」を意識する。世間がリアクションをしやすいように狙い撃ちの投稿をしていました。 ――みんなが求める「カツセマサヒコ像」をつぶやく感じですか? カツセ:そんな感じです。もう「カツセマサヒコ」は概念になりつつあって、僕ではないかもしれないです(笑)。たまに誹謗中傷的なリプライが来ますが、「カタカナのカツセは僕じゃない」と思うと楽です。「またカツセが何か言われているな〜」という程度の傷つき方です。
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つぶやきは小説で必殺技的に使う
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