恋愛・結婚

男性を好きになり「諦めるしかなかった」男性の苦悩。顔で笑って心で泣いて

バイト先のコンビニ店長に恋した

男性 バイト先のコンビニでのこと。事務室に用があって入ると、そこにパンツ1枚の格好をした店長(30代)がいた。着替えの最中だったようである。 「もう店長、こんなところでパンツ1枚にならないでくださいよ!」 「おう、すまん、すまん」  店長はそう言うと、わーはっはっはっと大口を開けて笑った。そのあまりに無邪気でかわいらしい笑顔にK君は「きゅんとしてしまった」と話す。  それからというもの店長への思いは募っていく一方だった。

顔で笑って心で泣いていた

 店長はK君のそんな気持ちを知ってか知らずか勤務終了後に長々と雑談に応じてくれるようになった。そしてついには休みを合わせて2人きりで焼肉に行く関係にまでなった。  K君はそのときに探りを入れてみることにした。網の上でジュージューと肉を焼きながらそれとなく訊いた。 「店長は今、彼女とかいないんですか」 「もうずっといないよ。女にはあまりモテなくてな」 「そうなんですか。すごくモテそうだけどなあ。あ、そうだ。女にモテないのなら男に走ってみるなんてのはどうですか」 「バカ野郎! なんでだよ。気持ち悪いこと言うなって」  店長はそう言って笑った。K君もいっしょに笑った。顔で笑いながら心で泣いた。ああ、今回もまた諦めるしかないのか……。  店長との恋の成就は諦めた。そして店長と並んでレジを打ったり、レジ横のケースからフライドチキンを取るときにほんの一瞬手が触れ合う、そんな小さな幸せを強く噛み締めるようにした。それ以上のことは望んではいけないのだと思った
次のページ
周囲もわかっていた
1
2
3
バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeチャンネル「ていじの世界散歩」。100均グッズ研究家。

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ