コロナ禍でアーリーリタイアして地方移住。孤独な生活に耐えられず苦悩の日々
新型コロナ感染症の収束が見通しの立たないなか、郊外や地方への移住を考える人が増加している。総務省が1月28日に発表した住民基本台帳の人口移動報告(外国人含む)によれば、昨年の東京都は転出者数が転入者数を上回った。転出先としては神奈川、埼玉、千葉などの近隣が人気で、コロナ禍において多くの企業でテレワークが推進されたことなどが影響していると見られる。
一方で、2月25日に発表された認定NPO法人ふるさと回帰支援センター(東京)が窓口利用者を対象に行ったアンケート調査(2021年1月〜12月)では、移住希望地として、1位が静岡県、2位が福岡県、3位が山梨県という結果だった。
そんななかで、都会の喧騒からは完全に離れた“南の島”に憧れる人も少なくはない。だが、現実は思い描いていた理想のようにいかないものだ。
今年1月、東京から沖縄の離島に移住した中村浩二さん(仮名・50代)は、コロナ移住の厳しさを知ったひとり。
中村さんは昨年末、都内のIT関連会社を退社。バツイチで妻子とは連絡をとっておらず、唯一の身内だった母親を亡くしたばかりだった。
「離婚したのは40歳のときで、その後は自由に暮らしていました。有給をとっては海外に行き、ダイビングなど趣味に費やす日々。そんななかで特に気に入ったのが沖縄です。
この5年間はほぼ毎年のように通っていました。しかし、コロナ禍になってからはなかなか行くことができなくなりました。そんなとき、地方移住する人が増えているという記事をネットで読んで興味が湧きました」
都内での度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置にうんざりしながらも黙々と仕事をこなしていた。
定年退職をしたら、いずれは沖縄で老後を送りたい……。そう考えていた中村さんだが、コロナ禍で世の中が激変し、「移住のタイミングは今」と感じるようになったという。
「まわりでは地方でワーケーションなど、自由に働いている人もいました。でも僕の場合は仕事上、機密情報が多いので社外のパソコンで仕事することができなかったんです。世の中がテレワークになっても通勤しないといけなく、自分の好きな旅行や飲み会を我慢する日が続き、自分は何のために生きるんだろう……と、考えていました。でも、昨年10月に感染者が一気に減少したときに海外に行き始めるYouTuberを見て、自分の中で『こうしてはいられない』という気持ちが爆発したんです」
思い切ってアーリーリタイアすることにして、沖縄移住を決めたという中村さん。
移住先は沖縄の中でもダイビングが盛んな島。中村さんは島に移り、物件を探すことになったのだが……。
コロナ禍で東京から沖縄に移住しようと思ったが…
度重なる緊急事態宣言にうんざり
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ