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コロナ禍でアーリーリタイアして地方移住。孤独な生活に耐えられず苦悩の日々

現地では情報交換できる機会が皆無

沖縄

※写真はイメージです(Photo by Adobe Stock)

「島ではゲストハウスに泊まり、他の宿泊客と現地の情報交換をするつもりだったんです。しかし、僕が住み始めてからすぐにオミクロン株の感染拡大によって沖縄でもまん防が発令されました。ゲストハウスで他の客と話せる共有スペースは一時的に閉鎖されました。飲食店は時短営業どころか、ほとんど休業。正月明けの閑散期だったので島民も諦めていたのかもしれませんね」  ゲストハウスや飲食店で情報交換するつもりが、島に到着してすぐに誰かと話すことさえなくなったと中村さんは言う。そんななか、追い打ちをかけるように中村さんのもとにこんな噂が回ってきた。 「那覇にいる友人から、『本島から来たことが島でバレると後ろ指を指される』『本島から旅行者が来たら、写真を撮られて島中で写真が出回るらしい』と忠告されたんです。  それからは外に出るのが恐くなり、買い物に行くときも帽子やマスクで顔を隠すようになりました。外食もできなくなり、毎日コンビニで弁当と酒を買ってゲストハウスの部屋で飲む日々。やがて、島でも感染が広がってくると今度は宿の客と風呂やトイレを共用するのにも恐怖を感じました。そこで、痛い出費でしたが格安のビジネスホテルに移動したんです」

審査が通らず、物件を借りられない

 それでも、希望を捨てきれなかったのは物件が契約できそうだったからと中村さんは言う。しかし、それも思わぬ事情で打ち砕かれてしまった。 「沖縄では、県外の人間が部屋を借りるときに県内に住む連帯保証人がいないと貸してくれないということがよくあるらしいんです。それは知っていたので保証会社を使って借りる予定だったのですが、直前のところで大家さんから審査が通らなかったんです。理由は、もしコロナに感染して孤独死なんかして身寄りがないと困るから……とのこと。沖縄本島では僕みたいな独り者でも保証会社を通し、部屋を借りている友人はたくさんいるんですが……。そこからもいくつか当たってみたのですが、すべて同じ理由で断られてしまいました」
ビジネスホテル

中村さんが滞在していたビジネスホテル。この部屋で毎日、1人で弁当を食べていたという

 離島の思わぬ現状を知って、泣く泣く移住を諦めることにした中村さん。その後もまん防中の孤独な生活に耐えられず、離島での生活はわずか1ヶ月半で断念した。現在は本島の那覇に移り、物件を見つけられたという。
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憧れの「離島暮らし」は先延ばしに
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