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小林麻耶とガーシー、同じ“暴露系”ユーチューバーでも決定的な違い

文/椎名基樹

ウォーホルも驚くであろうガーシーのバズりぶり

 Netflixでアンディー・ウォーホルを追ったドキュメンタリー『アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ』の配信が始まったが、彼の有名な予言「誰もが15分だけ有名人になれる。いずれそんな時代が来る」を証明する男が現れた。  暴露系ユーチューバー・東谷義和は、彗星の如く現れ「東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】」は、あっという間に人気番組になり、ネットの話題の中心にいる。若手俳優やお笑い芸人の「アテンド」、つまり女の子をあてがっていたというガーシーは、そこで見た芸能人の人非人ぶりを赤裸々に暴露する。  彼が暴露を始めた理由が振っている。ガーシーは、ユーチューバーのヒカルに、詐欺行為を告発されたために、仕事も信頼も失ってしまった。社会的信用を回復するために、詐欺行為の被害者への賠償金を稼ぐ目的で、YouTubeで告発を始めたという。  その試みはまんまと図に当たった。窮鼠猫噛む男の暴露が、直接カネを鷲掴みにできる時代であることに改めて驚く。あっという間に有名になるだけではなく、すぐにカネをゲットできる、もっと言えば生配信中に自分の懐にカネが投げ込まれる時代になるなんて、ウォーホルだって予想していなかっただろう。善悪は別として振り切った態度は痛快ですらある。

ガーシーは話がうまい

 さらにガーシーについて驚かされるのはその話術だ。告発内容もさることながらその話のうまさがガーシーchの人気の一因になっていると思う。まさに立て板に水。つぶやきシローみたいな顔して、全然つぶやかない。「すべらない話」に出演する大阪芸人を彷仏とさせる。芸人でもない人間がいきなりここまで話せるところを見ると、話術というものは、元来的に備わった才能らしい。  私は以前から、YouTubeはカメラ目線で伝えたいことを理路整然と話せる人が人気になると感じていたが、まさにガーシーはそれに当てはまる。意外に思われるかもしれないがエガちゃんもそうだ。助詞を省いて要点の単語だけで話すエガちゃんの話法は非常に伝わりやすい。これを私は密かに「髙田延彦法」と呼んでいる。
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小林麻耶とガーシーの決定的な違いとは?
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina

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