更新日:2022年08月04日 10:35
スポーツ

日韓戦に快勝も「チケットが売れない現実」。E-1選手権を開催する意味とは

代表戦なのに観客数が1万人以下…

サッカー日本代表

観客が1万人を切るのは寂しいが、もちろん選手に罪はない

 大会の目的が問われるなか、今大会は興行としても失敗している。開幕戦となった香港戦の観客数は4980人、続く中国戦は1526人、優勝決定戦となった韓国戦は1万4117人だった。同時期に行われたパリ・サンジェルマンのジャパンツアーはチケットが2〜3倍の価格にもかかわらず3試合とも満員だったことを考えると、日本代表は人気面でも危機感を持たなければならない。  ただし、この興行面に関してはフォローする余地がある。本来は中国で開催される予定だったが、コロナウイルス感染拡大の影響で中国サッカー協会が4月に開催を辞退。その後、日本で代替開催されることになった。準備期間が少ないなかで円滑に開催できたことは褒められるが、やはりプロモーションなどは行き届かなかったというのが現状だろう。さらに、パリ・サンジェルマンの興行と重なってしまったことも日本サッカー協会にとっては不運な出来事だろう。  それでも日本代表戦の観客数が1万人を切るのは寂しいかぎりだ。昨年に大阪で行われた最終予選のオマーン戦以来となるのだが、その試合はコロナ感染拡大の影響で人数制限のあった試合だ。今回は声出し応援が緩和された試合だっただけに、その寂しさもなおさら目立ってしまった形になった。

B代表の試合にお金を払う価値はない

 ワールドカップになれば、また勝手に盛り上がるだろうと高をくくっている関係者は多い。確かに4年に1度盛り上がってきた過去を踏まえると、おそらく例年にもれることなく盛り上がることだろう。しかし、観衆もバカではない。世界のトップクラスを相手に勝ち上がる日本代表を見たいと思っても、今回のようなB代表ともいえるチームの試合にお金を払う価値はないと思っている。これはワールドカップの結果に関係のない普遍的な真理である。これは日本代表にかぎったことではなく、Jリーグにも言える。Jリーグが魅力的であれば、国内組の代表だった今大会の観客数はもっと多くなっていたはずだ。これを機に魅力ある試合について考え直すべきだろう。  試合結果、新戦力の発掘という意味ではベターだったE-1だが、それ以上に問題点が浮き彫りとなった大会だった。これまでは日本代表の強化に欠かせなかった歴史のある大会なのだが、現状では開催の意義すら問われている。今後も有意義な大会にするためにも、大会規定や開催時期を積極的に改善すべきである。 <文/川原宏樹 写真提供/JFA>
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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