圧勝した日本代表に感じる“一抹の不安”。“弱点”を突かれた場合の危うさは変わらず
2年後に開催されるFIFAワールドカップの出場権を懸けた戦いが始まり、日本代表は2連勝と最高のスタートを切った。5日に埼玉スタジアムで行われた中国戦では7-0と大量得点で勝利したうえに、伊東純也が約7カ月ぶりに復帰するという朗報も加わった。10日(日本時間11日)のバーレーン戦でも敵地にもかかわらず5-0で勝利した。
6チーム3組に分かれて争われるアジア最終予選で2連勝したのは日本、ウズベキスタン、イランの3チームだけとなっている。そのなかでも2試合で得失点差を+12にしたのは日本だけで、圧倒的な力を見せつけた2試合となったことは間違いない。
中国もバーレーンもしっかりと日本を研究し、対策を練ってきていた。しかし、日本はそれを上回った結果となった。それは日本の選手個々が、持っている能力をきっちりと発揮した結果ともいえる。
中国戦では前線に上田綺世が入り、その後方に南野拓実と久保建英が並んだ。そしてサイドには左に三笘薫、右に堂安律という配置で挑んだ。相手の最終ライン4人に対して、その5人が並び数的優位な状況をつくりだそうとする。しかし、中国はボールの動きに合わせて横にスライドしながら対応。
加えて、三笘がボールを持ったときには、2人で対応するという徹底ぶりだった。そういった中国に対して、日本は三笘と逆サイドの堂安と久保のコンビネーションで相手の守備網を崩していった。2人は瞬時にポジションや役割を入れ替えて、中国のディフェンス陣を混乱に陥れた。そこに南野や上田も絡み、よき循環をつくり出して攻撃を活性化させたのだ。
続くバーレーン戦では久保ではなく鎌田大地が先発だったが、基本的には相手の最終ラインに対して5人並ぶという日本の攻撃はほぼほぼ同じだった。そういった日本に対して、バーレーンは守備時に左サイドのMFを最終ラインまで下げて同数になるように対策してきた。
さらに、全体が縦方向にコンパクトにまとまることで、前に並ぶ日本の5人にスペースを与えないように守ってきた。そういったコンパクトな守備網を崩すため、日本は最終ラインの裏のスペースを意図的に狙っていった。後半はその狙いが顕著で、相手6人を最終ラインに押し込め、その前に空いたスペースを縦にポジションを入れ替えながら鎌田がうまく活用して切り崩していった。
そして、いずれの試合でも攻守の要となったのが守田英正で、状況に応じてチームに不足する役割を補完していた。三笘などドリブルでの仕掛けを得意とする選手がボールを保持した際には、奪われた直後の守備を考えたポジショニングでリスクマネージメントをしている。鎌田がボールを受けに下がってきたときには、ポジションを入れ替えて最終ラインと対峙する。さらに、ゴール前にスペースがあればそこへ飛び込み得点を狙った。前線の選手らが高い能力を発揮できたのは、守田が補完していたからといっても過言ではない。
2人で対応された三笘の「逆サイド」を狙う
空いたスペースをうまく活用した鎌田
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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