更新日:2022年08月31日 13:52
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バックパッカーの聖地が大麻の聖地に…バンコクはまるで東洋のアムステルダム

かつての安宿街は、マリファナの聖地に

夜のカオサン通り。これから大麻売りがやってくる

夜のカオサン通り。これから大麻売りがやってくる

 そしていよいよカオサン通りに向かった。夜の7時。夜の帳が下りて、おだやかだったカオサン通りが、また別の顔を見せ始める時間である。カオサン通りとその周辺は、再開発で、以前見た景色など跡形もなく消えていた。ランドマークだった突き当りのバーガーキングも閉店していた。これには、ちょっとセンチメンタルな気持ちを抑えきれなかった。
カオサンにキッチンカーが集まってくる

カオサンにキッチンカーが集まってくる

 そこに続々と集まってくるキッチンカー。カオサン通りに規則正しく並んでいく。「Weed」と書かれた看板を持った人物が目に入る。これ、すべて大麻ショップだったのだ。全部で8台はあっただろうか。配合からやってくれて、ジョイントにして売ってくれる。客はほぼ白人だった。
weed(大麻)の看板を持った人物

weed(大麻)の看板を持った人物

 僕が「なんでカオサン通りなのか」と店員に聞くと「ここがいちばん売れるからね」と返ってきた。  やはり、かつてのバックパッカーの聖地は、時を経てマリファナの聖地と化していた。バックパッカーだった僕としては、なんとも複雑な思いである。しかし、街は変化するから面白い。そう思って僕は自分を無理やり納得させた。再開発で安宿もほぼ撲滅されたので、もうここに旅人が訪れることはないだろう。  そして、まぎれもなくバンコクは、東洋のアムステルダムだった。 ※筆者はタイでの娯楽目的の大麻吸引を推奨しているわけではありません。あくまでも実態を伝えるための記事です。 文・写真/神田桂一 1978年大阪生まれ。週刊誌記者、カルチャー誌の編集、ネットニュース記者などを経てフリー。著書に『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社)、『台湾対抗文化紀行』(晶文社)などがある。
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