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松居大悟監督が令和のロマンポルノにかけた思い「男性優位の作品にしてはいけない」

「絶対に男性優位の作品にしてはいけない」心がけたこと


令和の時代にロマンポルノを撮るために強く意識したこともあったという。 「女性にも気軽に観てもらいたいので、絶対に男性優位の作品にしてはいけないと心がけました。劇中でキスをしたり、ラブシーンを描くときには『いい?』と相手の同意を得るような。 原作者、プロデューサー、そして脚本も女性なので、打ち合わせは発見の連続です。なぜおじさんがいいのかも力説されました(笑)。僕は『バイプレイヤーズ』の監督をしていましたけど、おじさんをかわいいと思う気持ちはわからなかった。それが今は一生懸命なのに隙があるところなど、こういうところがかわいいのだろうと、わかりかけています(笑)」

ロマンポルノだから撮れる“愛”がある

ロマンポルノはルールを守れば内容は比較的自由なため、神代辰巳や相米慎二など多くの監督が才能を開花させるきっかけとなった。 「さわ子は父の手に触れられなくなり、誰かの手を求めていたはず。僕も父に演劇や映画をあまり観てもらえなかったので、勝手に被害妄想を抱いていた。父を振り向かせたくてがんばっていたところもあったんです。 だから家族を作品で描くことから避けてきましたが、この映画を撮れたことで、最近は面白いものになるなら成り行きにまかせようと思えてきています。ロマンポルノだから撮れる“愛”があるとわかった。『コメディ』や『サスペンス』みたいに、令和の『ロマンポルノ』は一つのジャンルになっていけばいいですね」 『手』 出演/福永朱梨 金子大地 監督/松居大悟 脚本/舘そらみ 原作/山崎ナオコーラ「手」(『お父さん大好き』文春文庫)’22/日本/ビスタ/5.1ch/99分/R18+ 【映画監督・松居大悟】 ’85年、福岡県生まれ。劇団ゴジゲン主宰。’12年『アフロ田中』で映画監督デビュー。主な作品は『私たちのハァハァ』(’15)『バイプレイヤーズ』(’17-’21)『くれなずめ』(’21)など 取材・文/ヒナタカ 撮影/志村 颯
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