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路上ライブで月8万円稼ぐ元CA。早期退職後の波乱万丈

パートの仕事を転々とするなかで…

飛行機

写真はイメージです(Photo by Adobe Stock)

「これまで自分は大企業でお膳立てされた場所で守られて働いていたんだって。そのありがたさに気づきました。  そして、好きなことをやって生きる道があるはず、と思った時に『自分は人の話を聞くのが好き』ということを思い出して。CA時代、フライト中に上司や同僚に相談されることも多かったですし、カウンセラーのようなことができたらいいなと。それでコーチングの資格を取りました。でも、その時はまだフリーランスで独立してカウンセラーになる勇気は持てませんでした」  そこで太田さんが取った行動は、「母校の女子大にいきなり履歴書を持っていく」という常識では考えられないものだった。その理由としては「どうして良いかわからないからとりあえず中学から短大までお世話になった母校に飛び込んでみよう!母校なら怖くない」というもの。  さらに、CAになる前の太田さんは自己肯定感がとても低かったこともあり、「多感だった短大時代に『あなたのここが素敵よ』と言ってくれる大人がいて欲しかった」「自分がそんな大人になれたら」という想いもあった。断られたらそれはそれで仕方ない、と半ばダメ元ではあったが、元CAの経歴が功を奏することとなる。

“元CA”を活かして学生相手のキャリアカウンセラーに

「履歴書を持参して大学の職員の方に『無料でいいので、食堂の隅にテーブルとイスを置かせてください、そこで大学生にカウンセリングがしたいんです』と伝えました。すると、『それはできませんが、こういう場がありますよ』と大学のキャリアカウンセラーの仕事を紹介してくれたんです。ありがたいことにセンター長にも気に入ってもらえて、キャリアカウンセラーの資格もないのに働くことになりました」  そうしてキャリアカウンセラーの勉強をしながら、1日5~6人の学生の進路相談に乗ることになった。太田さんのアドバイスで大手航空会社に入社した学生も多く、その手腕を認められ評価されていたものの、太田さんは「本当は就職したくない学生がいても就職させたい大学の意向とのギャップ」を感じ、結果的に約1年半で辞めることとなった。とはいえ、女子大生850人以上と向き合った体験は、カウンセラーとしてのキャリアにつながった。  その頃、友人から「大阪で面白いセッションをしている人がいる」と紹介されたのが小嶋道広氏(一般社団法人「If the world changes これやん!」代表理事)だった。「本来の自分に導くセッション」に共感した太田さんは師事、その視点と概念を採用し、自分も東京で個人セッションを行うようになった。その後、夫と離婚後はより互いに感謝し合う関係性を確立、もっと自分の在り方を充実させるために拠点を大阪へ。小嶋氏のオフィスでボランティアスタッフとして働くことに。 「活動に共感してスタッフとして働くことになったとはいえ、ボランティアスタッフですから収入はほとんど0でした。早期退職制度で得た退職金は当時使い果たしてしまっていましたし、クレジットカードも払えなくなってしまって……。どうやって生きていこう、と悩んだ時に思い立ったのが『路上ライブ』でした」
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人前も歌も苦手なのに、路上ライブをする意外な理由
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