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「私の髪を優しく触ってくれたのに…」美容師を困らせるモンスター常連客――困った客トップ10

なぜ素直に連絡先が交換できないの?

 ある日、頻繁に美容院に通うようになったAさんから、彰吾さんは連絡先の書かれた紙を渡された。 「“これ、連絡先です”ってニコニコしながら渡されたんです。プライベートでお客様と連絡を取ることもありますが、Aさんは僕の中で“お客さん”でしかなかったので丁寧に断りました」  Aさんの表情は暗かったが、納得してくれた様子だったと語る彰吾さん。しかし、彼が仕事の一環として開設しているインスタグラムに、1通のダイレクトメッセージが届いたというのだ。 「僕をフォローしているアカウントから、“仕事場じゃ連絡先交換はできないよね。私の配慮がなくてごめんね”って突然連絡が来ました。この内容からAさんだとすぐに結びつきました。  仕事柄、ダイレクトメッセージを無視するわけにもいきませんので、“お客様との連絡先交換は店長からダメだといわれている”と、嘘をつきました」  頑なに連絡先交換を断る彰吾さんにしびれを切らしたのか、Aさんは彼にこんなダイレクトメッセージを送ってきたとか。 「“いつも目を見て話してくれた。私の髪の毛を優しく触ってくれた。耳に手が当たった時ドキっとした。私が失恋した時、相談に乗ってくれた。ここまでされてて、彰吾さんからのアプローチに私が気づかないはずはない。なのに何で素直に連絡先が交換できないのか分からない”って来たんです。 スマホを持つ女性 “いくら使ったと思っているんだ。あなたに会うためにバイトも増やした、親に嘘をついてお金をもらった。あなたは私の心をもてあそんだ”と言われたんです」

特別なことは何も…

 どうやらAさんの中では、以前から彰吾さんが自分のことを気になっていたと思い込んでいたらしい。しかし彼に全くその気はない。 「髪を丁寧に扱うのは美容師なら誰だってします。会話を大切にするのは僕のポリシー。僕は一言も“好き”とは言っていないし、特別なことはしていません。これで僕がAさんに恋をしているといわれてしまうと仕事になりません」  しかし反論しても仕方がないと思った彰吾さんは、“勘違いをさせてしまってすみません”と謝罪したそうだ。そしてその後、店長の元にAさんからクレームが入ったのだった。
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恐怖の後日談
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