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熱さまシート、のどぬ~るスプレーetc.小林製薬の商品名が「そのまんま」のワケ

なぜ「そのまんま」なネーミングに?

小林製薬

1969年のブルーレット(発売時)パッケージ

こうした会議を重ねていることからも、小林製薬がネーミングのわかりやすさに対して、並々ならぬ情熱を持っていることが伝わってくる。では一体、なぜこれほどまでにネーミングにこだわっているのか。話を聞いてみると、小林製薬の会社としての歴史が見えてきた。 「当社はかつて、薬の卸問屋でした。その後、伝染病の流行などから、自社でも薬の製造を始めることになりました。しかし、卸業者として、他社の薬品メーカーの商品を取り扱っているので、それと競合になるようなものを作ることはできません。そこで、取引先様がやっていないニッチな需要にマッチする製品を作り始めました」 確かに小林製薬は、それまで存在しなかった商品を数多く生み出し続けている。今では多くの家庭で使われている『ブルーレット』は、日本初の水洗トイレ用洗浄剤として1969年に発売されている。1960年代当時、日本のトイレは汲み取り式が中心で水洗トイレの割合は20%程度だったことを考えれば、まさにニッチであった。

わかりやすいネーミングにこだわるワケ

小林製薬さらに、『アイボン』や『熱さまシート』なども、それまでなかったカテゴリ自体を、小林製薬が確立させたと言っていいだろう。こうした商品開発と、わかりやすすぎるネーミングにはどういった関係があるのか。 「それまで世の中に存在しなかったような商品を作っているので、発売直後はそれがどんな商品で、いつ使ってどんな風に役立つのか、誰も知らないことになります。だから、徹底的にわかりやすいネーミングにこだわっているんです」
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歴史と全世界へのひろがり
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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