食生活の“極端な節制”が長続きしない理由
野菜多め、ご飯少なめ、たんぱく質ファーストetc.ダイエットを始めて最初の1、2か月は模範的な食生活を淡々とこなすものの、ムクムクと湧き上がる「
ああ、甘いものが食べたい」という煩悩。家族で訪れたファミレスで、たまの贅沢とばかりに、食後のパフェを食べたが最後「あれ、なんでダイエットなんてしてたんだっけ? 修行僧でもアスリートでもないのに」と暴発。
規則正しい食生活が崩壊していき、ダイエットに挫折ーーというのはよくある話だ。
「極端な食事制限を課したダイエットは長続きしません」
赤石 定典(あかいしさだのり)先生
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部。管理栄養士。
そう語るのは、慈恵医大の管理栄養士・赤石定典先生。食事の摂取量を極端に減らすことの弊害は大きくわけて2つあるという。
「まず、身体的な問題。急激に食べる量を減らすと摂取カロリーも下がり確かに一時的には痩せます。しかし、
同時に栄養不足にもなります。また、基礎代謝に満たない摂取カロリーでは、人が活動するのに必要なエネルギーとして筋肉から補うため代謝が下がります。極端な食事制限のあと、リバウンドしやすいのはそのせいです」
そして、もう一つが心の問題。
「おいしいものを食べるという行為に人は幸せを感じ、それが生きていくエネルギー源となります。例えばラーメンが好きなのに、痩せようと完全に断ったり、こんにゃくの麺で代用したりを続けていると、心が乾いてくる。結果、長続きせずに暴発してしまうのです。食べる量と頻度を調整しながら、
好きなものはガマンせずに上手に食べるのがダイエットを継続するコツです」
「甘いものはダイエットの敵」といわれるとおり、ダイエット中に厳禁とされるのが甘いもの。が、「一概に甘いものだからダメということではありません」と赤石先生は続ける。
「確かにケーキ、シュークリーム、ドーナツなど、
砂糖と油をふんだんに使用したものは高カロリーなので、いくら好物でもダイエット中に普段と同じように食べるのはおすすめしません。が、同じ“甘いもの”でも、果物に含まれる果糖はカロリーが高いというものでもなく、補える栄養素もふんだんに含まれています」
果物であれば「甘いものが食べたい」の誘惑を押さえることはできるかもしれない。が、仕事の合間の小腹が空いた時に「
ちょっと、ひとつまみ」するにはポーションが大きいのが難点だ。小分けして持ち運ぶのは面倒という人も多いだろう。
「お菓子でおすすめなのが
高カカオチョコレートです。“高カカオ”の定義ははっきりしたものではないのですが、だいたい“
カカオ70%以上”と表示されている商品がこれに該当します。もちろんお菓子で油分も含まれているのでカロリーもそれなりにありますが、カカオマスには植物繊維が多く含まれているため、野菜を先に食べて血糖値を抑えるベジファーストと同様、
血糖値の上昇を抑え、糖の吸収を抑えてくれます。そのため、食事のまえにひとかけら、高カカオチョコレートを摂取する、というのもダイエットをサポートするおすすめの食べ方のひとつです」