仕上げとしては、近所のスーパーのバックヤードの仕事に店内の張り紙を見て応募しました。時間の拘束を伴うことと肉体的に大変なことがありましたが、月に数万円でも安定的にアルバイト代が入ることに加えて、生活に朝型のリズムが作れることとアルバイトの同僚と雑談できることがありがたかったと振り返っていました。 　そうしてピーク時には6つのアルバイトを掛け持ちして、月収も職を失う前にほぼ追いついていました。 　さらには個人事業主になっていたことで、確定申告についても独学。税務署に頻繁に聞きながらやってみたことで、同程度の基本給の会社員と比べて税金の負担がずいぶん軽くなり、手取りで受け取れるお金はむしろ増えたそうです。 　家にいる時間も長くなり、子供との会話も増え、「こんな生活も悪くないかな」と感じる一方、やっぱり時間は自由でも「切られたら嫌だ」と常に一所懸命仕事をしていたために以前とは異なる疲労を感じ始めた矢先、再び転機が訪れます。 　書類選考で落とされてばかりでも諦めずに続けていた転職活動のなかで、ようやく少しコロナ禍が落ち着いたかに見えたタイミングで面接に臨むことが増えてきました。そうして退職から1年以上かかりましたが、正社員としての転職先が決まりました。 　最終面接で社長から「前職の給料よりも下がるが、いいか？」と聞かれた際、「まったく構いません。ただひとつだけ、お願いさせてください。会社員としての仕事に支障が出ないようにするので副業を黙認してほしい」ということを伝えそうです。