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BTSを待ち受ける韓国兵役のリアル「芸能部署でも煩わしい上下関係」

兵役を経てBTSの人気は?


 これまで芸能人が“兵役逃れ”を画策することも多々あったが、バレると炎のようなバッシングが待っている。たとえばマッチョ派アイドル歌手のユ・スンジュン。彼は「韓国人なんだから兵役に行くのは当たり前」と何回も発言していたにもかかわらず、海外公演のついでにアメリカの市民権を獲得。「もう兵役に行く気はありません」とあっさり前言撤回する。当然、韓国世論は「この嘘つき野郎!」と烈火のごとく怒りに沸いた。現在もユの裁判は続いているうえ、“永久入国禁止処分”が下され、韓国国内で活動復帰する目途すら立っていない。 「芸能人が兵役に行く場合、そこで人気が下がる場合もあるけど、逆に上がることも珍しくはありません。特に俳優はプラスに働くことが多いですね。役者というのは演じるにあたって人生経験が重要になる。兵役で苦しい思いを味わうことで演技に深みが出るし、暇な時間を使って本を読んだりすることもできますから。 一方、アイドルの場合はもともと寿命が短いので、2年ものブランクは厳しいですよ。グループが解散することもよくあります。ご存知のように韓国のアイドルは“奴隷契約”と呼ばれる過酷な契約で縛られるわけですが、兵役にいる間は事務所の力が及ばないため、ここでタレント側が契約を破棄することも多いんです。ある意味、事務所の束縛から逃れられる千載一遇のチャンスなんですよね」

所属事務所は2025年の復活を公言

 BTSに限っていうと、兵役中に陰湿なイジメやセクハラ被害に遭う恐れもあまりないのではないか。順当に行けば、メンバーは芸能部署に配属されるはず。そこには芸能人ばかりが集まっているから、兵役が終わってからも関係性は途切れない。下手にBTSメンバーに手を出したら、シャバに戻ってからすさまじい報復が待っていることだろう。 「(所属事務所の)HYBEは2025年にBTSを復活させると言っていますよね。実際、その通りになるだろうし、人気もそれほど下がらないんじゃないかと予想します。いくらアイドルの旬が短いとはいっても、グループがここまで確固たる存在になったらファンもそう簡単には見捨てないでしょうし。結局、このタイミングでBTSが軍隊に入るのは世論的にも必然だったし、兵役のデメリットも最小限に抑えられるのではないでしょうか」  韓国には有名な兵役ジョークが存在する。「女性が嫌う男の会話は3つある。1つは兵役。もう1つはサッカー。そして一番嫌われるのは兵役時代にサッカーした話をすることです」。BTSメンバーを待ち受ける兵役生活は、果たしてどのようなものになるのだろうか?<取材・文/小野田 衛>
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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