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スペインは「勝てない相手ではない」窮地に陥った日本代表の必勝策とは

 FIFAワールドカップ2022が絶賛開催中である。カタールと日本の間には6時間の時差があるため、キックオフは自ずと深い時間に。今回はAbemaで全試合が中継されていることもあって、サッカーファンならずとも、睡眠時間の捻出に苦慮している人は少なくないのではないか。そして来たる12月2日には日本中で寝不足の人がさらに倍増するはずだ。サッカー日本代表における”一世一代の真剣勝負”が午前4時から行われるからだ。

ドイツ代表が見せた攻略のヒント

森保一 サッカー 日本代表

森保一監督。日本中から期待を背負うなか、4年間の集大成を見せられるか

 ドイツ戦後に訪れた歓喜から一転して窮地に立たされてしまった森保JAPAN。グループステージ突破を懸けてスペインと戦うことになったのだが、はっきり言って今回のスペイン代表は強い。今大会でも1.2を争う強さを見せている。初戦は堅守を誇るコスタリカを子ども扱いするかのように圧倒して7-0で勝利。第2戦のドイツ戦でもボールを支配しながら先制。終盤にゴールを許したが、試合運びとしては申し分なく及第点といったところだろう。  大きな穴が見当たらないスペイン代表だが、攻略のヒントはドイツが見せてくれた。スペインは素早く正確なパス回しで、相手ゴール前へとボールを運ぶスタイルだ。フリーの味方を見つけて、できるだけ良い状態でボールを渡す。その巧妙なパスサッカーを相手に、日本は試合のほとんどでボールを支配されることだろう。  日本戦では圧倒的にボールを支配したドイツを相手にしても、スペインは精密なパス回しで終始ゲームを支配した。しかしながら、勝ち点が欲しいドイツは後半からハイプレスを仕掛ける。相手の最終ラインに対しても常にプレッシャーをかけていった。すると、スペインにも徐々にミスが出始め、ドイツは高い位置でボールを奪ってチャンスに結びつけていた。

ハイプレスを機能させる「3-5-2」の布陣

 要するに、スペインを相手にしても前線から積極的にプレッシングを行うハイプレスは有効な手段になるということだ。相手に自由な時間を与えないようにプレッシングし続ければ、例え精密なパスサッカーでも綻びはつくれる。もちろんその際に、それぞれのタスクをはっきりとしておかなければならない。特に、前線でワイドなポジション取りをするウイングと、そのウイングとセンターフォワードの間に位置取るインサイドハーフに対するマークは整理して臨む必要があるだろう。ウイングとインサイドハーフの横位置同士の連動した動きはもちろん、時には縦方向での連動した動きで相手を混乱させてくる。どういった状況で誰が誰につくのかという細かい確認とシミュレーションをしておかないと、あっという間に崩されてしまう。  ハイプレスを機能させるためには、「3-5-2」の布陣にすべきだ。先に述べたように、スペインは前線にセンターフォワード、両サイドのウイング、2人のインサイドハーフを並べてくる。これに対応するために、守備時には5人が並ぶ3バックの布陣が最も適している。このときにインサイドハーフをセンターバックがマークするのか、ボランチがつくのかをしっかりと確認しておいたほうが良い。そして、スペインはビルドアップ時にはセンターバック2人でボールを回す。相手が同数でプレッシングしてくる場合には、アンカーのブスケッツが最終ラインまで下りてきてボール回しに加わる。この場面で日本はしっかりとマンマークにつき、相手に自由な時間を与えないようにしたい。攻撃時の布陣は仮に「3-2-4-1」になっても構わないが、守備時には「5-3-2」になり、相手の選手ひとりに対して必ずひとりがプレッシャーに行くマンマーク気味の戦術にしなければ、容易に崩されてしまうし、チャンスも生まれないだろう。
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得点のチャンスはくるか?
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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