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「転職弱者」のシニア営業職。それでも採用を勝ちとる猛者の転職術とは

転職を成功させる「6つのポイント」

 ここからは、先に紹介したようなシニア営業職など、専門職以外の比較的転職のハードルの高いシニアのための転職成功ポイントをご紹介しよう。  まとめると、次の6つのような転職成功ポイントがある。 1 営業力などよりも、自分が持つ専門知識をアピールする 2 業界内で転職すれば、業界知識が評価されやすい 3 「マネジメント」や「教育」は評価されにくい 4 業界知識がアピールできない場合は「営業手法」の知識を強みに 5 「顧問」や「業務委託」での就業は要注意 6 まずは求人企業が何を求めているのかを把握する  このうち、1と2は先にご紹介したとおり。次の3だが、「マネジメント」や「教育」は、管理職経験者が強みとしてよく挙げやすい経験スキルだろう。しかし、これは営業力同様に評価されにくく、採用の決め手となりにくい。  もちろん、中には管理職のスキルに特化したプロ管理職、プロ経営者もいると思うが、そういう人はむしろ「マネジメント経験があります」といった単純なプレゼンはしない。マネジメントや教育を強みにする場合は、どの業界のどんな人材やチームを、どのようにマネジメントしたかの具体的な詳細や成果まで説明が求められる。  また、業界知識をアピールしにくい人もいるだろう。その時は4のように「営業手法」の知識をアピールするのも有効となる。インサイドセールスとフィールドセールス、新規営業とルート営業では手法も違う。その特定営業手法の実績豊富な人や、特定の営業支援ツールの扱いに長けているというのも、会社によってはニーズがあるかもしれない。

シニアに人気の職種「顧問」実は要注意のわけ

さて、シニア転職で業界知識や専門知識を活かすと言った場合、5で挙げた「顧問」という形の就業を希望する人は多い。最近は独立起業して自身の法人として、あるいはフリーランスとして「業務委託」を考える人も増えている。もちろん、こうした就業の形も悪いわけではないが、注意が必要となる。  まず、一口に顧問と言っても期待されることや目の前の実務となるものは会社によって違う。最も多いのは人脈を活かした営業を期待されるパターンだ。  しかし、成果を出すことは簡単ではなく、結局は一般社員と変わらない内容を期待されることもあり、就業前の確認が欠かせない。少なくとも困った時に知恵を出すような仕事ではないことのほうが多い。 「業務委託」も独立起業と言えば聞こえがいいが、実際に発注会社側の意図は労使関係にない便利な労働力としか見ていない場合もあるため、これも契約内容・条件、そして会社のニーズに十分注意したい。  ここまでも繰り返し述べてきたことであるが、最後に強調したいことは6で挙げた「企業が求めていること」が何かを確実に把握することである。シニアに限ったことではないが、シニアの場合は特に即戦力であることを求められるため、今後の成長が計算に入らずスキルのミスマッチが即不採用につながるためだ。  シニアとなり、豊富な経験を積むとプロとしての誇りや自負が誰しも芽生える。それはシニア転職の大きな武器にもなるが、武器になるかどうかは相手が求めているか次第。求めていない会社に押し売りをしようとしても難しいことを忘れずにおきたい。
50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
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