中高年の”コネ入社”は地獄への入り口?入社後に「給料3割カット」「クズ幹部の尻ぬぐい」など悲惨な目に遭うことも
人生100年時代。「人生最後の職場を探そう」と、シニア転職に挑む50、60代が増えている。しかし、支援の現場ではシニア転職の成功事例だけでなく、失敗事例も目にする。シニア専門転職支援会社「シニアジョブ」代表の中島康恵氏が、今回はコネ入社の実体について解説する。
「親ガチャ」という言葉が浸透して久しく、また、以前よりも「二世議員」など親の権力や経済の基盤を世襲することへの目が厳しくなっているように思う。
では、「コネ入社」はどうだろうか。「縁故採用」とも呼ばれるが、親族や友人といったもともと持っていた縁を活用して会社に入る方法である。「コネ入社」についてもおおむね批判的な目が多いようだ。
しかし、最近では似た印象の「リファラル採用」も活発になっているが、そこまでの批判は見受けられない。この違いはどこにあるのだろうか。
また、中途採用やシニアになってからの転職・再就職では、コネを使いたい人も増える。人生が長くなると人脈形成が進み、一方で通常ルートでの転職・再就職の難易度が上がるためだ。採用する企業側も特定のスキルセットやマインドの人材を求めるなかで、縁をたどった採用を行う場合がある。
一般の目線では悪い見え方の多い「コネ入社」について今回は、メリット・デメリットや実際にコネで就職して悲惨な結果となった中高年の事例を挙げながら考えてみたい。
そもそも「コネ入社」(縁故採用)と「リファラル採用」とはどう違うのだろうか。
「コネ入社」でも「リファラル採用」でも、どちらも社内のメンバーの縁やつてをたどって、社外の人材にアプローチする点は同じだ。2つのもっとも大きな違いは、つながりのある人材がどのステップまで進めるのかにある。
「コネ入社」は、基本的に入社が前提だ。会社側も人材側もよほど大きな問題がなければ、話が進んだ段階でもう入社が決まっている。通常の求人応募と同じような試験などの選考がない場合も多い。
一方、「リファラル採用」は、あくまでも母集団形成を目的としている。つまり、社員とのつながりを持った人材であっても「採用説明会の参加」などがいったんのゴールで、そこから先、正式に応募をするかしないかは人材側で自由に決めることができる。応募に進んだ場合でも、通常の求人応募と同様の選考があることが多い。
人材側からみた「コネ入社」のメリットは、なんといっても特別扱い・特別ルートである点だ。倍率や難易度が高い会社であれば、通常の応募よりも楽で確実に入社でき、内定までも早い。一方、デメリットは入社後に辞めにくく、選考中や内定の辞退もしにくい点だ。
もし、無理に辞めてしまった場合、つながりのある家族などにも迷惑がかかるかもしれない。また、能力以上の期待や、向いていない仕事を任されてしまうこともある。コネの噂から他の社員との溝が広がることもある。
企業側が「コネ入社」を進めるメリットは、素性の確かな人材を得られることや、辞めにくいこと、経営陣の血縁者などであれば、利害や価値観などが経営陣と近い人材を得られることにある。反対にデメリットには、他の社員との不公平感が士気に影響することや、選考を経ずに入社させてしまうことで、本来求める水準の能力や適性がない人材を入れてしまう可能性が挙げられる。
シニアの転職は依然として厳しく、頼れるのであればコネでもなんでも使いたい。しかし、批判的な声の多いコネ入社をしても大丈夫なのか? そんなコネ入社のメリット・デメリットや、悲惨な末路を迎えた実例を含めて、コネ入社の実情に迫る。
転職でコネは使うべき?
コネ入社とリファラル採用の違いとは?
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50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
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