社会人の勉強意欲を削ぐ、都会と地方の「見えない格差」/猫山課長
note作家の猫山課長と申します。金融機関で課長をしながら、ネットでは働き方やキャリアに関する執筆活動を行い、ありがたいことにSNSなどで多くの反響をいただいています。
2023年も始まり、新たな目標を立てられた方も多いと思いますが、そんなところにも都市部と地方では格差があるのです。
新たな年を迎えるにあたり、多くの方が今年の目標を設定されると思います。目標設定はとても大切です。達成するためのアクションプランはゴールから逆算して考えるのが定石だからです。
目標(ゴール)を設定し、達成するには何をいつ行えばいいのか。仕事でもプライベートでも、目標がある場合やることはあまり変わりません。
会社員が立てる目標で一番ポピュラーなものが資格取得でしょう。多くの会社で資格取得は推奨されており、昇進昇格において単位制を採用している企業もあると思います。
私は現在、地方の金融機関に務めていますが、所属先では資格を持っていないと強烈に追い込まれます。もちろん昇進などできません。資格を持っているから仕事ができるようになるわけではありませんが、普通に努力すれば取れる資格“さえ”取れない人間はしょせんそこまで。そんな空気があります。こわいですね。
資格取得を目標とした場合、自助努力も大切ですが、環境もそれと同じくらいに重要です。しかし、都市部と地方では環境に大きな差があるのです。
地方では資格取得のための予備校などが都市部に比べて少なく、外部の力を借りづらくなっています。私の住んでいる地域ではほぼありません。
現在では通信での受講も可能ですので機会格差は随分と緩和されましたが、誰も周りにいない環境ではモチベーションを維持するのは大変です。同じ資格に向かって勉強する仲間を近くで感じることは、ツラく長い勉強期間において大きな助けになります。皆が頑張っている場に身を置くことが重要なのは、進学校を見ていても明らかです。
予備校などに限らず、地方には社会人が集まって勉強する空間がほとんどありません。また、場所があっても集まって来る意識の高い人は少ないのです。
距離の問題も深刻です。以前、私の顧客がMBAを取得しましたが、毎週末2時間以上かけて遠方の大学まで通っていました。往復だけでもかなりの負担ですし、何より時間のロスです。加えて、交通費やときには宿泊費もかかります。都市部に住んでいればこんな負担はなかったはずです。
同じ目標を持つ仲間が集まる場が少なく、そして良質な教育機会を得るためには都市部の人間より多くの時間と費用を割かなければならない。地方は都市部と比較して自己研鑽において明らかに不利なのです。
加えて、地方は都市部より所得が低い傾向にあります。となれば自己研鑽に投下できる予算も少なくなります。それなのに同じレベルの教育を受けるにもコストは割増になってしまう。まるでいいところがありません。
所得は低くコストは割高ですから、当然ながら資格取得を諦める確率は地方のほうが高くなるでしょう。そうなれば都市部と地方の人材の質の差はさらに開くことになり、所得格差もどんどん開いていく……。
都市部と地方の格差は、連鎖する悪夢として構造化されているのです。
資格取得に潜む「都会と地方の格差」
地方は「社会人が学ぶ場所」が極端に少ない
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金融機関勤務の現役課長、46歳。本業に勤しみながら「半径5mの見え方を変えるnote作家」として執筆活動を行い、SNSで人気に。所属先金融機関では社員初の副業許可をとりつけ、不動産投資の会社も経営している。noteの投稿以外に音声プラットフォーム「voicy」でも配信を開始。初著書『銀行マンの凄すぎる掟 ―クソ環境サバイバル術』が発売中。Xアカウント (@nekoyamamanager)
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