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子供にいい経験をさせたいなら“逃げる”しかない。田舎と都会の絶望的な「経験格差」/猫山課長

「子供に貴重な体験をさせる親」を見て思うこと

家族

写真はイメージです

昨年、ある有名インフルエンサーが息子2人を連れて長期間のアメリカ旅行に行っていた。その企画は好評となり、書籍にまでまとめ上げられることになった。 インフルエンサーはその後、YouTubeで下記のようなことを発言していた。 「子供の頃からこんな体験をして、今後の人生でみる景色がつまらなくなるのではないかと心配だ」 言いたいことはよくわかる。なんせ3週間にわたる車でのアメリカ旅行だ。刺激的な旅に違いないし、日本ではお目にかかることのできない壮大な風景に圧倒されたはずだ。これから日本で出会う風景が退屈に見えても不思議はない。 しかし、それは杞憂というものだろう。そんな体験をした子供たちは、もっと凄い体験を目指して父親を超えていくに違いない。 父がくれた体験を肥やしにし、踏み台にし、より高みへ飛んでいく。そうなるに決まっている。それが子供というものだろう。 しかし、どこまで高みに行けるかは、与えられた体験の高さによるとしたらどうだろう。 田舎に住むものとして、そこに格差を感じずにはいられない。

田舎だと希薄な「お金をかけて子供に体験をさせる」意識

子供を連れて長期間の海外旅行へ行く。田舎ではそんな話はほとんど聞かない。少なくとも、私が子育てをしてきた20年弱の期間において、そんな家庭を見たことがない。 田舎は都市部と比較して低収入であり、また大企業もないから飛び抜けた存在はほとんどいない。もちろんお金持ちもいるが、それは「田舎にしてはお金がある」というレベルでしかない。また、時代の先端を立っていくような意識を持った経営者はほぼいないため、いわゆる「意識高い系の経営者」などほとんどいない。だから、都市部で見られる子供に多額の費用をかけて体験を積み上げさせるという意識はあまり醸成されない。 また、目立つことも嫌うため、お金があっても周りのレベルに合わせる傾向がある。同調圧力は無視できず、より下方へ向けて圧力がかかってしまうのだ。 これでは田舎に住む、意識が高めの富裕層はたまったものではなく、少なくないストレスを感じるのだろう。
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わざと地元で働くのを避ける優良企業の社長
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金融機関勤務の現役課長、46歳。本業に勤しみながら「半径5mの見え方を変えるnote作家」として執筆活動を行い、SNSで人気に。所属先金融機関では社員初の副業許可をとりつけ、不動産投資の会社も経営している。noteの投稿以外に音声プラットフォーム「voicy」でも配信を開始。初著書『銀行マンの凄すぎる掟 ―クソ環境サバイバル術』が発売中。Xアカウント (@nekoyamamanager

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