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登録者数100万人のエドが警鐘「YouTubeは麻薬と同じ。人間の心を失ってしまう」

悪魔に魂を売っても「数字を伸ばしたい」

エド トライ&エラーを繰り返しつつ、エドは戦略的に動画をアップしていった。著名な芸能人でもないのに、「エ.com(エド)」はコンテンツの過激さと内容の面白さで登録者数は倍々ゲームで増加。小学生の「なりたい職業ランキング」1位がYouTuberになるなどの流れも追い風となり、一躍、時代の寵児になったのだ。 「ところが、ある程度までいくとお金を稼ぐとかどうでもよくなって、数字に取り憑かれちゃったんですよ。自分のコンテンツが具体的な数字として上がっていくということが気持ちよくてしょうがなかった。再生回数と登録者数の奴隷みたいな感じでしたね。マジでYouTubeって覚醒剤と一緒。一度あの快感を知っちゃうとやめられないと思う。これは僕だけじゃなく、多くのYouTuberが抱えている病理だと思いますよ。ひょっとしたらHIKAKINさんやヒカルさんだって似たような症状じゃないかな」  悪魔に魂を売ってでも数字を伸ばしたい──。そう考えたエドの動画は過激化の一途をたどっていった。闇金業者の裏側を暴露。西成で違法労働に従事。海外の危険なスラム街に潜入。置引犯をGPSで追い詰める。置引犯の毒親が抗議行動に出ると、その一部始終もコンテンツ化するなど……。エドが恐ろしいのは、すべての内容がガチという点。たとえばYouTube界で人気の「ぼったくりバー潜入」はほぼすべての配信者が仕込み前提……つまりヤラセで行っているのが現実だが、エドだけは丸腰でズケズケ問題店に入ったりする。違法風俗店の潜入で半グレに追われている現状は、なるべくしてなったともいえるのだ。 「よく言われるんですよ、『なんでわざわざそんな危険なことをする必要があるの?』って。たしかにこういう危ない真似をしているとYouTubeサイドからも嫌われるし、ビジネス的にもオイしくはないです。でも、そういう損得勘定ではないんですよね。僕が欲しいのはリアル。とにかくヒリヒリしていないと自分がダメになるので」

動画のアイデアは電波少年から

 もともとエドは生粋のテレビっ子で、『進め!電波少年』(日本テレビ系)と『ガチンコ!』(TBS系)の大ファンだったという。そのためYouTube用に思いつく企画も「ベーリング海のカニ漁に行って一攫千金を狙う」など、どこか90~00年代のバラエティ番組を連想させるものばかり。つまり本人はあくまでも「エンタメ」のつもりなのだ。しかし加減をしらない性格と過度なバイタリティゆえに、気がついたら「報道」「ドキュメンタリー」「ノンフィクション」といった消費のされ方をされるようになっていた。 「モーニングルーティーンで歯磨きする動画を投稿するなんて、僕にとっては死と一緒。それだったら半グレに殺されるほうがマシです。へずまりゅうくんの気持ちとか、本当に手に取るようにわかりますから。もう引けないんですよ。中途半端な真似は絶対できない」
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YouTubeは「消費されて終わり」
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出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。

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