南極大陸で20年前の「週刊SPA!」を発見。一体なぜ?南極からリポート
「南極で、面白いものを見つけました」というメールが、2023年1月19日、SPA!編集部に届いた。
第64次南極地域観測隊に取材同行している、フジテレビ・大塚隆広記者からのメールである。昨年12月24日に昭和基地に接岸し、環境や気象など様々な観測・調査が行われている。
そんな中、大塚記者が見つけたのは、なんと20年前の「週刊SPA!」だった!なぜ南極に昔のSPA!が?発見したときの状況を大塚記者にレポートしてもらった。
<1月19日、南極大陸上にあるS16という拠点に行った時のこと。
並んで停まっている雪上車の列の奥、やや離れた場所に緑色の四角い小屋が見えた。
よくみると小屋は、ソリの上に乗っているので、おそらく雪上車で牽引されながら移動するものだろうことはわかった。
この小屋は「カブース」と呼ばれ、観測隊が遠征中に宿泊した「居住カブース」が残されていたのだろう。
中を見たくて近づいたら後部がウインドスクープ(風によってできる雪の溝)で、屋根近くまで雪で埋まっていた。ドアを探したが見当たらないので、後部に積もった雪と氷をスコップでどかしてみると、想定通りドアが出てきた。
二重扉を開けると、薄暗い空間があった。室内灯のスイッチを動かしても電気はつかなかったが、手のひらほどの小さい窓から白夜の明かりが部屋に差し、ある程度、何があるかはみえた。
左右に二段ベッドがあり、敷き布団、掛け布団はまだ使えそうなものが置いてあった。S16は気温マイナス10度前後、冷たい風が絶えず吹き続けている場所だ。このカブースなら、多少は寒くても、凍死せずに泊まれそうだ。
ふと、足元に視線を落とすと「SPA!」という文字が目に飛び込んだ。
なんと「週刊SPA!」が無造作に床に置いてあるではないか。表紙には「2003年9/23号」とある。20年前のSPA!に、まさか南極で遭遇するとは……。
観測隊員の誰かが持ち込んで、読んでいたのだろう。中を開くと、誌面に「阪神優勝」の文字があった。>(以上、大塚記者)
星野仙一監督が率いる阪神タイガースが、18年ぶりにリーグ優勝した2003年。この号の特集は「実録・年収500万円→貯金1000万円への道」、表紙はいまやHIPHOP界の重鎮となったZeebra、グラビアはタレントの城山未帆だ(芸能界から消えてしまった?)。
テレビもネットもない、雪と氷に閉ざされた地で、かつての観測隊員が暇つぶしにSPA!を読んだのだろう。本望である。
2003年といえば、米英がイラクに戦争を仕掛け、中国でSARSコロナウイルスによる感染症が流行し、日本では小泉純一郎総理が安倍晋三氏を党幹事長に抜擢した年だ。あれから世界は前進したのか、後退したのか――。
<文/日刊SPA!取材班 文・撮影/フジテレビ大塚隆広>
ソリの上に乗った四角い小屋
床に20年前のSPA!が。当時の隊員が持ってきた?
2003年、「阪神優勝」の年だった
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