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元セクシー女優がとっさにこぼした“ウソ”の職歴「ちょいと演劇の勉強を」

シナリオスクールに通う生徒はやはり「物語好き」

たかなし亜妖さん 私は一つのスクールにしか通っていないため、全ての学校が皆同じとは限らないことを先に伝えておこう。とはいえ、シナリオライター志望の生徒は確実に「物語大好き人間」であることは確か。  もっと言ってしまうとアニメ・漫画好きの人口率が高い。入塾したスクールの生徒もみんな見事にオタクだった。もちろん私も例に漏れず、だが。  あくまで個人の考えに過ぎないが、そこそこマニア気質でないと物語は書けないと思う。キャラクターや世界観の設定、魅力的なセリフ、情景をイメージしながらのト書き。隅々まで設定を作り、追求する気持ちがないとやっていられないからだ。  途中で投げ出しそうになるのをいかに頑張るかが執筆の鍵なので、こだわり性の傾向が強いオタク達には適していると言えよう。物語に触れることが好きでないと、そもそもシナリオを学ぶ気にならないのではないか。映画も漫画もドラマもアニメも観ず、好まない人はまずこの道に進む選択肢さえ考えつかないはずだ。

社会人の中にセクシー女優が1人。感じる疎外感

 スクールは少人数制であり、最大4〜5名での講義だった。自分が入塾した期は4人。偶然にも全員が女性で、先生曰く同性がここまで揃うのは滅多にないことらしい。  当時の私はプロダクション退所寸前だったため、一応形だけは現役セクシー女優だった。とは言え蕁麻疹が引いたばかりで仕事をしていない。つまり、事実上の無職だったのである。  自分を除いた3名は会社員だそうで、ゲーム会社勤務が2名、某テレビ局勤務が1名と圧倒的すぎるスペックの差。昼職目指し中の半ニート兼ナマケモノにはとても眩しい存在で、勝手な疎外感を覚えていた。  初回授業の自己紹介では職業を言わなければならず、焦った私は「ちょいと演劇を勉強しておりまして」と、ゲーム会社の面接時と変わらぬでっち上げを咄嗟にしたのである。 「そっかぁ、表舞台からは退いて裏方に回りたいんだね。そういう人は私もたくさん見てきたから」と妙に納得する先生。たしかにセクシー女優からのライター転身なので間違ってはいないが……。  否定する間もなく、私は勢いでハイと返答していた。我ながらとんだ嘘つきだ。のっけから不安に苛まれつつも、いよいよ授業がスタート。  次回はこの続きで、現在のセクシービデオの脚本を書くうえで役に立っていることなどを綴っていく。 文/たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
Twitter:@takanashiaaya
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