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銀座ホステスが見た歓楽街のコロナ苦境「アルバイト感覚の“素人”が増えた」

 大人の社交場・銀座のクラブにホステスとして勤めているみずえちゃんと申します。水商売を始めたのは22歳の頃でした。週5でお酒をあおって、グイグイヨシコイ!とかやっていられた頃はまだ良かったのですが、飲食業界はコロナ禍の影響をモロに受け、私のような下っ端はほとんど出勤さえさせてもらえないありさま。まさに限界ホステスです。
みずえちゃん

銀座ホステス兼ライターの筆者(みずえちゃん)

 特に緊急事態宣言が発令と解除を繰り返していた2021年の春から秋にかけて悲惨だった記憶があります。現在、歓楽街は少しずつ賑わいを取り戻しつつありますが、その間に「ホステス」の雰囲気もずいぶん変わってきた印象です。今回は実際に私が感じた“変化”をお伝えしたいと思います。

1週間に1日も出勤させてもらえないことはザラ

雨の銀座通り 東京で4回目の緊急事態宣言が発令された2021年の夏、とうとう在籍していたお店から「次はいつ出勤させてあげられるかわからない」と告げられました。実質的にはクビ宣言です。とほほ。もちろん食べていくアテなんてないので、その日から手あたり次第に職探しをしていました。  まずはお世話になっているお姉さんに相談して、ホステスを募集しているお店を紹介してもらいました。来る日も来る日も面接を受けますが、年齢や容姿がネックに。 「もうちょっと若かったらねえ」 「今はホステスさんが余っているんだよ……誰もが振り返るような美人ならいいんだけど、あなたはちょっと……」  10軒中10軒がそんな感じで、新橋駅の前で途方に暮れていたときなんか本当にひどかったです。 どこかのお店の黒服さんが声をかけてくださったのですが、 「32歳(当時)なんですけど、働けるところありますか?」  と、たずねたら、彼はそそくさと逃げるように立ち去りました(笑)。せめて何か言ってほしかった。

まずは派遣から再出発

 毎日17時から19時まで面接を受けて、お店の方に「後日改めてご連絡いたします」と苦笑いで見送られながら新橋駅から電車に乗るんですけど、そうしているうちに2か月が過ぎて、あっと言う間に季節は秋になってしまいました。    無職でいるわけにもいかないので、その頃からは地方の安キャバで働くように。日払いでお金が欲しかったので、さまざまな店の体験入店で糊口をしのいでいました。  安キャバはノルマがないせいか、女の子がユルいというか、競争意識が低く、とても平和でした。でも、お客様の層が銀座とは全く違って、「この1万円でアレとコレとソレもしたいんだ!」と息まいた男性が、本当にクッチャクチャの1万円札を握りしめてやってくるようなところだったので、辛いこともたくさんありました。  11月になると、お店の繁忙期にあわせて求人を出すお店が増えだします。そのタイミングを見計らって、今度は銀座で派遣ホステスとして働き始めました。
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コロナ以前の銀座
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1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989

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