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銀座ホステスが見た歓楽街のコロナ苦境「アルバイト感覚の“素人”が増えた」

コロナ以前の銀座は華やかな世界

 
みずえちゃん

出勤前のセットサロンでヘアメイクをしてもらっている私

 派遣先のクラブのお話をする前に、コロナ前の歓楽街についてお話しさせてください。リーマンショック後とはいえ、当時の歓楽街にはまだ好景気の茶殻くらいはかろうじて残っていて、とても華やかなものでした。  19時頃になるとタクシーから毛皮を着た女性が次々と降りてきてセットサロンに向かうんです。家からタクシーまではスニーカーでも、街を歩くときにはサッとルブタンのパンプスに履き替えて。  ちょっと日給の高いお店だと、毎月1回は「新調日」と呼ばれる日が設けられていて、その日出勤するホステスは全員がおニューのドレスを着て出勤します。上層部ではシャネルやディオール、お着物の見せあいっこが行われ、それはそれはゴージャスなものでした。私はこっそりZARAで買ったものを着ていました(笑)。  ところが、コロナが歓楽街を焼け野原にしてしまったのです。

様変わりした歓楽街

 派遣先のクラブは銀座の一等地にあって、内装も超豪華。広い店内にはムーディなジャズが流れていて、お客様も芸能人ばっかり……とまではいかないけれど、どの殿方も素敵な方々でした。  12月になるといよいよ忙しくて、色んなお席に着いて楽しくお酒をいただきました。もちろん、他の女の子と一緒に男性を接待します。  こんなことを言い出すといかにも“お局”なんですけど、最近のホステスさんってちょっとどうなんでしょう。  まず、セットサロンに行っていないホステスさんが多すぎます。水菜の先っちょみたいな痛みきった髪を適当にコテで巻いて出勤している子が普通にいます。それからドレスが、結婚式の二次会や授業参観に着ていくやつみたい。パンストも履いていません。  お客様が煙草をくわえていても、グラスが空になっていてもほったらかし。接客に関してもあからさまに素人です。
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アルバイト感覚のホステスが増加
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1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989

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