エンタメ

「30代は絶望しかない」俳優・三浦貴大はいかに人生を楽しむようになったか

SNSは自分に向いていると思っていた

三浦貴大――そうした変化を周りに指摘されることはありますか? 三浦:SNSとか、ちょっとした配信とかを始めたんですけど、「そういうのは絶対にやらないタイプだと思ってた」と会社の人から言われましたね。でも自分ではもともとSNSには向いているだろうと思ってたんです。何言われても全然気にしないので。気にしないというか、たとえば、「三浦の芝居、めちゃくちゃ下手だよね」とつぶやかれたとしても、「そりゃそうだよ。そんなの知っててやってるし」みたいに思うだけなので。 ――たとえば、昨年のドラマ『エルピス』での好演はSNSでもかなり評判になりました。三浦さんの耳にも入ったのでは? 三浦:そうですね、そういう反応は全体的に全部見ますし。いいものも悪いものも。というか、フォロワーの方から飛んでくるのは褒めてくれるものばかりなので、そんなのばかり読んでいると「ダマされる」と思っちゃうんです。 「俺がこんな褒められるわけない」と。で、逆に悪いコメントを探しに行っちゃいます。それで何か言われているのを見つけて、「そうだよな」とバランスを取るみたいな。ネガティブな根っこの部分を残しつつ、前より人生も仕事も楽しんでいければ。

0から1を作ることには全く興味がない

Winny

(C) 2023 映画「Winny」製作委員会

――本作では開発者の未来が遮断されてしまいましたが、三浦さんは年齢的にも与えられるだけじゃなく、切り開いていく側の立場にもなっていくかと思います。意識の変化はありますか? 三浦:そういった部分では変わってなくて。というか、むしろ以前より強くなっているのですが、僕が役者をやっていて、監督などには全く興味がない理由って、0から1を作ることに全く興味がないからなんです。1をよりよくすることに、役者として楽しみを見出しているというか。  役者って、セリフがあって監督の演出があって、その枠のなかでよりよくするために模索するというのが面白いところかなと思ってるんです。たとえば、絵画だったら絵具でありたい。画家に「あなたは今回、赤です」と言われたら、いろんな赤の中から、監督の想像以上の赤を自分が作ればいいかと。切り開いていく人より、道具でありたいんです。 ――ありがとうございます。最後に『Winny』をこれから観る人にひと言お願いします。 三浦:当時の事件に対して、いろんなイメージを持っている人がいると思いますが、この映画は当事者たちの思いを知られる機会ですし、最初にも言いましたが、物事を多角的に見られるきっかけになる作品だと思います。あとは、エンターテインメントなので純粋に楽しんでいただければと思います。 <取材・文・撮影/望月ふみ>
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
1
2
3
【公開情報】
Winny』は全国公開中
(C) 2023 映画「Winny」製作委員会
おすすめ記事