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コミュ力の高い人が、実は使っている「対人想像力」の正体/齋藤孝

とにかくまずは想像してみる

考える男性

写真はイメージです

 想像力を身につける第一歩は、「とにかくまずは想像してみる」ということです。  ブルース・リーは映画『燃えよドラゴン』で、“Don’t think, feel.” すなわち「考えるな、 感じろ」と言っていました。これをもじって私は、“Don’t think, imagine.”「考えるな、想像しろ」とみなさんに伝えたいのです。  私はテレビ番組でコメンテーターとして出演させてもらうことがあります。そこでは、提示されたテーマに対して、瞬間的にコメントをしなければなりません。  この時に私は、そのテーマに関わるできる限りすべての人を想像することを心がけています。このコメントを言った時に、「ある人にはいいとしても、別の人の気持ちからするとどうだろうか」ということを瞬時に配慮して、コメントをするのです。対人想像力をフル活用して、いろいろなところに配慮した上で適切なことを言う、というプロセスを瞬間的にやり続けなければなりません。  もちろん私も、初めから対人想像力が身についていたわけではありません。振り返ってみると、高校生の時に、なぜあんなことを言ってしまったのだろうかといった失敗があります。もう一度、高校1年生に戻って、そこだけやり直したいと思うくらいです。今思うとそれは、相手のことを想像する力がなかったが故に引き起こしたものでした。今では決して言わないようなことですが、高校生の当時は言ってしまっていました。  ただし、そうした失敗があったからこそ、想像力というものを真剣に考えて、能力として向上させようと取り組んできたわけです。後天的な技術として想像力を意識し、トライ&エラーを積み重ねることで、失敗することが目に見えて減ってきました。
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もっと想像力を使いなさい

人間関係も、仕事もうまくいく

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