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ソフトバンク・甲斐、オリックス・宇田川だけじゃない、2023年プロ野球「ネクストブレイク」育成選手5選

苦労人強肩キャッチャーのDeNA・上甲凌大


 サイ・ヤング賞を受賞したトレバー・バウアー投手の加入で話題のDeNAにも期待の育成選手がいる。’22年育成ドラフト1位の上甲凌大捕手(推定年俸340万円、背番号127)だ。  宇和島東高校時代は無名ながら、社会人時代に出場した都市対抗野球で2打席連続アーチを記録。‘22年からはNPB入りを果たすために四国アイランドリーグplusに挑戦し、リーグ最多タイの29盗塁刺をマーク。長打力と正確で素早いスローイングが魅力的なスケールの大きな大型キャッチャーだ。支配下ドラフトで指名漏れしたのは、スカウトが独立リーグのみの成績でしか判断できなかったことが大きかったようだ。  しかし、いざキャンプが始まってみると首脳陣や関係者たちが上甲のハイレベルな2塁送球に仰天。矢のように鋭いスローイングは「甲斐(ソフトバンク)や小林(ジャイアンツ)に十分匹敵する」と言わしめたほど。昨年、レギュラーを務め上げた正捕手がいないDeNAだけに、早々の支配下登録、1軍の舞台でのデビューも近そうだ。

和田に続く先発サウスポーを目指すソフトバンク・三浦瑞樹


 甲斐、周東、牧原、千賀滉大(ニューヨーク・メッツ)といった育成ドラフト出身から球界を代表する選手たちを輩出し続けている福岡ソフトバンクホークス。同チームに次なる育成出身の注目株がいる。技巧派サウスポーの三浦瑞樹投手(推定年俸400万円、’21年育成ドラフト4位)だ。  盛岡大学付属高校時代に3季連続で出場を果たすなど安定した投球術が魅力で、東北福祉大学に進学後は、華奢だった下半身を鍛え上げることでスタミナも格段にアップ。侍ジャパン大学代表候補に選出されるエースに成長した。  しかし、各球団スカウトの評価は高くなく、左腕の少ないソフトバンクの育成ドラフトで拾ってもらう形で入団。三浦本人も「選ばれないかと思っていた」と本音を漏らしたほどだ。  ゆったりとした力感の少ないフォームから腕をしならせるように投げるストレートは、140キロ中盤だがスピード以上の威力があり、スライダーやチェンジアップといった変化球の精度も抜群。何よりピンチでの内角攻めやコントロールの良さは目を見張るものがあり、投手には欠かせない強いメンタルがウリだ。  昨シーズン後に参加したオーストラリアでのウインターリーグでも活躍しており、今季中の支配下登録、1軍登板も確実だ。  ここまで、背番号3ケタでサラリーマンの平均年収を下回る年俸からジャパニーズドリームを目指す育成ドラフト出身の選手たちを紹介してきた。強いハングリー精神と強烈な個性を持つ彼らならば、球界を盛り上げる未来のスターになるはずだ。 <取材・文/木田トウセイ>
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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