更新日:2023年03月30日 22:26
仕事

24歳女性、ゴミ収集作業員が明かす仕事の本音「もっと評価されてもいい」

“日陰の存在”に光を当てたい

齋藤ひなの ひなのさんが言う。 「ゴミ回収の仕事って、みなさんからすると、あんまり良いイメージではないと思うんですよね。でも、もっとよく知ってもらって、評価されてもいいんじゃないかって。いわば、日陰の存在です。ゴミ捨て場に置いておけば、いつの間にかゴミは無くなっている。それって“当たり前”じゃないですか。当たり前のことって、フォーカスして見ようとしなければ、見えないんです。  普通に生活しているとぜんぶ当たり前になってしまうのですが、本当は決して当たり前じゃなくて。私は、それを“震災”で知ったんです」  彼女は福島県で生まれ育った。2011年の東日本大震災、当時は小学校6年生だった。

“当たり前”は決して当たり前じゃない

齋藤ひなの

「日陰の存在に光を当てたい」と話すひなのさん

 幼い頃に見た光景が、今でも記憶に残されているという。 「原発や津波の被害が身近で起きたのですが、当たり前だったことがすべて失われて。そこで気づいたんです。瓦礫の山だった被災地が復興していくなかで、じつは陰で汗を流している人たちが存在する。そして、私も“人の役に立つ仕事がしたい”という想いが湧いてきたんです。いま、ゴミ回収の仕事をしているのもそういう部分がありますね」
福島県

(左)福島県・相馬の海/(右)猪苗代湖(提供写真)

 我々がゴミを捨てた先には何があるのか。ゴミ回収ガールが、日常生活においては見えづらい“当たり前”を改めて認識させてくれるかもしれない。そこには、確実に“誰か”がいるのだ。 <取材・文・撮影/藤井厚年>
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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