更新日:2023年11月28日 19:55
仕事

なぜか深夜のラブホに勤務する、50代男性の意外な正体。元従業員が明かす“ワケあり”のスタッフ

出来心で履歴書を覗いてみたら…

履歴書 ある日のこと。夕勤のフロントスタッフから所用で休みたいとの申し出があり、代わりに筆者がそのシフトに入ったことがありました。  特別に暇だったその日、何気なくデスクの引き出しを開けると、そこにはAさんの履歴書が。いやらしい行為だと自覚しつつも出来心で履歴書を拝見すると、彼のあまりにも立派な人生の歩みが記されておりました。  誰もが知る一流大学を卒業後、某有名企業に就職し、その後は起業。妻子あり、住所は“インサイド山手”……。志望動機の欄には「接客に関心がある」との記載。  ラブホの従業員として働くような理由がまるで見当たらないAさん。もしかしたら事業が傾きかけているのかもしれないと筆者は当たりをつけました。  深夜帯になりAさんが出勤し、筆者はそのまま清掃のシフトへ。どうしても彼のことが気になった筆者は、今まで踏み込めなかったプライベートな事柄についてそれとなくたずねてみました。  Aさんは筆者の失礼な質問にも丁寧に応じてくれて、詳細は省きますが、とりあえずは必要に迫られて働いているわけではないということだけはわかりました。

「僕の人生は、あまりにも順調にことが運びすぎた」

 当然Aさんには履歴書を覗き見たことを伝えなかったのですが、おおむね記載の通りの経歴を彼は話してくれました。  そこで筆者はAさんに、“今ここで勤務している本当の理由”という、あまりにもド直球な質問を投げかけたところ、彼は意外なほど正直に、かつ滔々とした語り口でこう言ったのです。 「どうしても死ぬ前に裏の世界というものを、僕は覗いてみたかった。これまで特に辛い経験をすることもなく、親にも配偶者にも子供にも恵まれて……娘は婚約中で、それほど遠くはない未来に、きっと孫の顔を見ることになると思う。規模は小さいながらも一国一城の主で、叱ってくれる人間もいない。“だから”この仕事をやってみたかった。僕の人生は、あまりにも順調にことが運びすぎたから」
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結局、数ヶ月で辞めてしまったが…
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およそ6年にわたり、渋谷区道玄坂の激安ラブホにて受付業務および清掃業務に従事。繁華街で様々な人間を見てきた経験をもとに、迷惑客の存在やスタッフの裏事情などをテーマに執筆(していく予定)。
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