更新日:2023年06月20日 01:18
仕事

「夜だけ営業する」歌舞伎町の人気ケーキ店。夜の住人がリピートし続ける理由

問い合わせは「ひと月に2000件以上」

夜のケーキ屋さん

手先の器用さを活かして、まるで“作品”のようなケーキを作り上げていく

開業にあたり、かねてより懸念としていたフルーツの廃棄問題にも取り組んだ。使用用途が増えれば、無駄を減らすことができるかもしれないと考え、行き着いたのがケーキの販売だった。そして営業を続けていくなかで、オーダーメイドのリクエストをもらう機会が増えていく。 「オーダーケーキの製造経験はほとんどありませんでしたが、幸いにも私は手先が器用なこともあり、挑戦していくうちに様々なデザインのケーキを作ることができました。イレギュラーで受けていたオーダーケーキの延長線上に今の営業スタイルがある感じです」 juliさんの誠実な対応により、次第に口コミでお店の評判は広がっていった。効率的にオーダーを受け付けるためにLINEを活用し、ひと月に2000件以上届く問い合わせに対応しながら、多い日には1日に70台前後のケーキを製造しているとのことだ。

コロナ期間中の売上はむしろ好調

夜のケーキ屋さん

juliさんが手掛けたケーキ(Instagramより、以下同)

通常、オーダーケーキは1ヶ月前や2週間前など、余裕をもって注文を締め切る店が多いそうだが、歌舞伎町では、当日や前日など直前のタイミングにオーダーが入ることも少なくない。 可能な限り注文を断ることはせず、どうにか作成できるように、スケジュールやオーダー内容を顧客と相談しながら作り上げていくのだ。 夜の店が休業していたコロナ期間中の売上は、今までとは違った新たな層からの依頼が増えたため、むしろ好調だった。 それは、外食やパーティーを自粛する代わりに自宅や個室などで小規模に身内だけでも贅沢にお祝いを楽しみたい一般家庭からのニーズだ。 Instagramで店の存在を知って、問い合わせてくる人も増えた。 「日中に営業しているオーダーケーキ店ではなく、夜営業の当店の時間に合わせて注文をするということは、何かしらの思い入れやインスピレーションを感じてくださったからだと思うんです。そういった依頼には大切にしたいですし、可能な限り応えたいと思っています」
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美味しいケーキを提供するお店はたくさんあるけど…
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普段はベンチャー企業のなんでも屋会社員。夜の世界で働く人々のキャリアを取材する。自身もれっきとしたホス狂い。フットワークは人一倍軽い Twitter:@miitann1212
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