恋愛・結婚

「大きいほうを漏らしたかと思った」デート中に漂う悪臭の正体はまさかの…

突然態度が急変して「実家に帰る」と…

 口数が少なくなったのは、ある疑いがあったからだった。 「もしかしたら……彼は大きいほうを漏らしたんじゃないかと思いました。飲んでいる時にも頻繁にトイレに行っていたので、下痢なんじゃないかって思ったんです。彼は黒っぽいズボンを履いていたので、見た目ではわかりませんでしたが、そうでないとおかしいと思うぐらいのニオイでした」  そんなことを考えていると、先輩がある行動に出る。 「隣を歩いていた先輩が、こちらにグッと近づいてきたんです。私が黙っていたので、気になったんだ思います。先輩は私に顔を近づけて何か話したんですが、その言葉の途中で黙り込んでしまいました」  その後、先輩の態度が急変したという。 「距離を取って歩くようになって、言葉数が少なくなりました。携帯をいじっていたかと思うと、『これから実家に帰らなきゃならなくなった』と言われました。『ご家族に何かあったんですか?』と聞くと、冷たい口調で『まあ、そんな感じ』と。それ以上は話そうとしませんでした……。こちらを見ようともせず、私は『わかりました』と返すしかありませんでした」

悪臭の正体はまさかの…

 先輩の態度にショックを受けながら、駅で別れたが、あることに気づいてさらなるショックを受けることになった。 「先輩の態度から、もしかしたら、ニオイの原因は私なのではないかと思うようになりました。でも、何も思い当たることがないんです。でも、帰宅途中でわかりました。その日、首の後ろにデキモノができていたんですが、それに触れた手を嗅いでみたら、強烈な悪臭がしたんです」  後日、病院に行ってみると、「粉瘤」だと言われた。皮下に袋状のデキモノができ、そこに皮脂の老廃物が溜まり、細菌なども繁殖するため、ひどい悪臭を放つことがあるのだという。 「先輩との関係は、その後、進展することはありませんでした。自分が悪臭を放っていて、そのせいで嫌われたのだと思うと本当にショックで……。それに、きっと周りに話したりするんだろうと思うと、心底落ち込みましたね。熱が出て、3日ほど会社を休むほどでした」  その後、ショックを忘れようと仕事に邁進したところ、営業成績は大きく伸びて、昇進するきっかけになったという。怪我の功名とはまさにこのことだが、いまだにこの出来事を思い出すたび気持ちが重くなるそうだ。 <TEXT/和泉太郎>
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
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