更新日:2023年08月22日 18:20
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たばこの“いつもと変わらない味”はどう作られる? 葉たばこ研究施設を訪問

いつもと同じ味を担保するマスターブレンダー

栽培試験圃場

 上記の3種類もその土地の気候や土壌、収穫期の天候や年産等によって味が左右されるため、マスターブレンダーという専門の職人が、様々な国、種類の葉たばこ、そして香料等を使用して、“いつもと同じ味を担保”しているというわけだ。 「マスターブレンダーは現在2名います。味を統一するために試喫をしながら微調整をするわけです。ブレンダーの官能(味覚)によるところが大きいため、試喫(Test Smoking)の前夜の飲酒や刺激物を控えるなど、日常の生活習慣に配慮して変わらぬ味を守り続けています」(TPDC Master Blender 廣澤利彦氏)  つまり、記者が疑問に感じていた“セブンスターのたばこ畑”というものはないわけだが、それぞれの銘柄によって、ブレンドの基本構造となるものはある。以下の3タイプがそれに該当する。 ・アメリカンブレンドタイプ(メビウス、ホープ等)黄色種、バーレー種、オリエント種の3種をバランスよく使う。日本では一番多い。 ・ドメスティックブレンドタイプ(セブンスター等)製品の味の“コア”になるのが国産の黄色種とバーレー種。 ・バージニアブレンドタイプ(ピース等)黄色種を主要原料とする。ピースは100%黄色種。

未来のたばこ製品の可能性

 いつも何気なく嗜んでいるたばこも、基本は農作物。こうした工程の過程を知り、味の違いの理由を知ることで、嗜好品としてのたばこを、より愉しめるに違いない。  また、昨今では紙巻きたばこだけでなく、加熱式たばこの需要も増えるなど、たばこ製品の多様化が進んでいる。同じ葉タバコを原料にしていても、燃焼/加熱温度が違うため、LTRCでは新しい品種の開発や、栽培方法、乾燥方法の構築・研究に余念がない。 「例えば、甘味の強い品種と香りが強い品種を組み合わせることで、甘味が強く、香りが豊かな品種を見つけるといったことです。そのためLTRCには、葉タバコの栽培から収穫、乾燥までの全工程をできる設備が備わっています。新しい栽培方法や乾燥方法を評価しながら、未来のたばこ製品の可能性を探り、お客様に新たな感動をお届けするのが使命です」(LTRC Senior Leader 黒岩孝仁氏)

栽培実験施設

黄色種乾燥施設

 いずれ、ワインのように「○年代の○○産」のように、プレミアムな品質の製品が誕生するのかもしれない。
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