カップボードには、ほかにも見落としがちな点があると押村はいう。 「大事なところではコンセントの数。繰り返しになりますが、いまは電化製品が増えているので、それだけコンセントも必要になります。家具屋で古いカップボードを購入したりすると、コンセントで困ることも少なくありません。キッチン周辺で携帯電話を充電したいという人はなおさら。僕が手がける場合、カップボードには8個のコンセントをつけます。それだけあれば、常にひとつか2つの空きを確保できると思います」 キッチンのなかでは後回しにしがちなカップボードだが、こだわるべき点は多々あるのだ。 〈取材・文／ツクイヨシヒサ〉 （おしむらともや）スタイラス所属。20代で建築、都市計画、インテリア、暮らしについてカナダ、アメリカで学び、輸入住宅などを手掛けるも挫折、住宅とは何かを見失う。大手ハウスメーカーや大手デベロッパーにコンサルティングして感じた「業界の嘘」と「都合の良い慣習」に納得できず、悪しき慣習にまみれた日本の住宅づくりからの逸脱が始まり、住宅業界の異端児となり、1000棟以上の建築設計を手掛ける。2022年7月にYoutubeチャンネル『ジュータクギャング』を開設。近著『美しい家のつくりかた』