<漫画>もし“死後に手続きをする”役所があったら…『死役所』作者に聞く、異色の設定を思いつくまで
自殺・他殺・病死・事故死など、さまざまな経緯や事情を抱えて死に至った人々が訪れ、成仏するための手続きを行う役所を舞台に、死してなお「自分の人生はなんだったのか」を見つめ直す人々の姿を描く――。
これは、『月刊コミックバンチ』(新潮社)で連載10周年を迎えた『死役所』という作品のあらすじだ。
累計発行部数は630万部にも及ぶ人気作なわけだが、シンプルなようで奥深い設定こそ長年読者から支持を得続けている秘訣ではないか。
さて、作者であるあずみきし氏は、一体どんな人物なのだろうか。連載に至った経緯や制作の裏話を語ってもらった。
――2013年に連載がスタートしてから10年が経ちましたが、当初は地元の別府市役所で臨時職員として働きながら連載を目指して作品を投稿していたそうですね。
あずみきし:役所で働いていたら何でもかんでも申請書が必要なんですけど、「自殺申請書」というものがあったらイヤだな、と。
――具体的にはどんな業務をしていたんですか?
あずみきし:「公園緑地課」などで働いていました。市が管轄する公園を学校の遠足や運動会、選挙活動などで使用する人に申請書を書いてもらったり、予約状況の管理をしたり。単純な事務作業です。ちなみに読み切り段階では「死者が現世に戻れる設定」で描いていたんですが、連載を始めるときにその設定はなくしました。
――亡くなった人が現世に戻れるほうがストーリーを組み立てやすい気もしますが。
あずみきし:でも、「死んでいるのに現世へ戻れる」のは、少し甘いかなと思って。主人公(シ村)や「お客様は仏様」という決め台詞は読み切りのときから変えていません。
――猫も杓子も「不謹慎」と言われるご時世なので、本作も題材の扱い方が難しそうな気がしますが、絶妙なバランス感覚ですね。
あずみきし:「死を扱うことが不謹慎」という気持ちはあまりなくて。でも確かに、担当編集さんが頑張ってプレゼンしてくれなければ、連載枠は勝ち取れなかったかもしれません。
――(死役所の)職員さんは癖のあるキャラクターが数多く登場しますが、勤めていた市役所にモデルがいるんでしょうか。
あずみきし:私のオリジナルですね。モブキャラの中に似た人を勝手に描いたことはありますけど(笑)。
市役所勤務と執筆活動を並行していた
「死を扱うことが不謹慎」とは思わない
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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【『死役所』連載10周年記念 あずみきし先生初サイン会】
■開催日時:2023年10月7日(土)13:00開始
■場所:芳林堂書店高田馬場店8Fイベントホール
■対象書籍:『死役所』24巻 あずみきし(定価:税込726円)
※上記対象書籍を予約・ご購入いただいたお客様がイベントにご参加頂けます。
※サインにはお宛名とイラストが入ります。
※サイン会へのご参加は参加券番号順となりますので、参加券番号の選択・指定はできません。
詳細はこちらから。
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