ズボラなビジネスマンにお勧めの革靴は「モンクストラップ」一択なわけ
こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
職場のルール上、革靴が必須の方はまだまだ多いです。クールビズやオフィスカジュアルが広がったとは言っても、いきなりスニーカーというわけにはいかないものです。そこで筆者お勧めの靴が「モンクストラップ」。紐靴に比べて着脱がめちゃくちゃ楽で便利です。
紐靴は、履きづらいうえに、紐を解いたり結んだりが面倒です。結局、指でズボッと履いてしまうズボラな方は、靴が足にフィットせず、靴も壊れやすく、見た目の劣化スピードが早くなります。まずいいことがありません。中・高校生のころに指定靴とした履いていたローファーの影響で、悪しき慣習としての「指ズボ」が横行しているのです。そこで「モンクストラップ」の登場です。
このデザイン、何がいいかといえば、着脱の簡易さ。バックルは洋服のベルトと同様に穴でサイズの微調節ができますが、これは、履き下ろすときの1回で十分。バックルの裏にゴムがついているので、ローファーよりもずっと履きやすい仕組みになっています。
そして、ここにゴムがついていることに、ほとんどの方は気づきません。ちょうどバックルとベルトできれいに隠れているからです。このゴムのおかげで、事実上スリッポンとして履けます。「指ズボ」はさすがにおすすめしませんが、靴ベラを使ってズボっと履く「ベラズボ」はOK。いちいち紐を解く・結ぶといった不便さから解放されます。しかもこのデザイン、案外女子ウケがいい。紐靴に比べ、シュッとしているからですかね? ちなみにこのゴムのことを専門用語では「ビラゴム」と呼びます。理由は「ビラビラしているゴム」だから。婦人靴にもよく使われている「ビラゴム」ですが、実はいいことだらけなのです。
モンクストラップの「ビラゴム」はかなりの太さがあるため、見た目のわりに丈夫です。絶妙な伸縮具合で、脱ぎ履きも邪魔をせず、歩いてるときにはしっかり足を固定してくれます。ガンガン歩き倒しても、数年は持つでしょう。しかしいかんせんゴムなので、いずれは伸びたり、靴紐のように切れることもあります。「緩んできたな」と感じたら、街中の修理屋さんで交換してもらいましょう。
メーカー修理だと事務的な手続きで1か月以上かかるので、個人的にはお勧めしません。街中の修理屋であれば、両足のビラゴム交換の相場は3000円程度。2~3日あれば直ります。私自身も長年リペアをやっていましたが、ビラゴム交換は本当にラク。伸びたゴムを外して、新品に交換して、縫うだけなので、作業自体は両足で10分程度でできます。
ちなみに、高級革靴のモンクストラップは、バックルであっても「きちんと外して、締めなおす」という考えなので、ビラゴムではなく革を使用しています。これはどちらがいい・悪いということではなく、その方のニーズです。個人的には脱ぎ履きの多い日本人には圧倒的にゴム仕様のほうが合理的だと思っています。
革靴を履くときに「指ズボ」は厳禁
通称「ビラゴム」がすごい
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こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」
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