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ズボラなビジネスマンにお勧めの革靴は「モンクストラップ」一択なわけ

初心者はダブルモンクストラップには手出し無用

しかしここまでべた褒めしてきた「モンクストラップ」と「ビラゴム」の組み合わせですが、やっかいな罠が一つあります。それが「ダブルモンクストラップ」です。
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ダブルモンクの元祖・ジョンロブ「ウィリアム」。ここまで高級品だと文句のつけようがありません。22万4400円。写真は公式HPより

今まで紹介してきた靴は、ベルトが1本なので「シングルモンクストラップ」です。対して、デザインとして人気が高いのは、ベルトが2本あるタイプの「ダブルモンクストラップ」です。高級靴のダブルモンクであればベルト裏も革なので簡単に切れたりしませんが、これが廉価版のダブルモンクだと、ビラゴムが細すぎて、あっという間に切れてしまいます。
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ビラゴムが細い。筆者私物

リペアをやっている時代に、7万円を超えてくる某高級ブランドのダブルモンクのビラゴムが「2回の着用で切れた」ということがありました。私はシューフィッターでもあるので、その靴が足に合っているかどうかは壊れ具合から逆算してわかります。その靴はお客様の足には合っていたのですが、体重がかかるのは物理的に「上の1本のゴム」に集中します。シングルモンクに比べると細くて耐久性には劣るので、簡単に切れてしまったのです。リペアは簡単にできますが、そもそも「設計」の問題なので、ゴムを交換してもまたすぐに切れます。ダブルモンクはあくまでも「おしゃれ」を追求したもの。革靴に慣れていない方は手を出さないほうがいいでしょう。

やっぱり大切なアフターケア

そして、最後に、靴の寿命をのばす秘訣は、シューキーパーです。どんなデザインにも言えることですが、靴は曲がります。だから大事な靴であればあるほど、曲がった部分を伸ばしてケアする必要があるのです。電車の中で、ずいぶん反り返ってる革靴を履いてる方を見かけますが「足になじんでいる」と言えば聞こえはいいのですが、反り返ってる靴では見た目がパッとしません。
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「こういうのでいいんだよ こういうので」。コロンブス、1320円。写真は公式HPより

効果を試したいならまずは1000円ちょっとのプラスチックのもので十分。個人的には全体的にソフトなつくりの靴ほどキーパーの効果があると思っています。ちなみに、靴を買った時にはじめから入っている、紙や空気袋のような通称「アンコ」では縦にテンションがかからないので、入れても無駄です。 ここまで気を配っても、そもそものスタートがまちがっていると、悲しいかなどんなに大切に扱ってもデザインによってはすぐに壊れます。「履きなれないダブルモンク」は、よほどのこだわりがなければやめておくのが無難でしょう。
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ
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