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雪や雨で滑らないタウンユースの靴とは?アウトドアシューズは意外と滑る!

小手先の技より「排水」がおすすめ

スポーツメーカーは靴メーカーより徹底的に「滑り」そのものを対策しています。具体的には、アシックスのハイテク革靴「テクシーリュクス」。おそらくこの靴は上っ面よりまず、「底」から考えられています。
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滑らない、素材が剝がれないのは徹底した排水設計。アシックス「テクシーリュクス」。写真は公式HPより

防滑素材の面積の広さ、剥がれないように底全体をしなやかにした素材、そしてとどめに徹底した排水仕様。「歩き・走り」のデータが盛り込まれているのでしょう。このソールパターンだと、歩くだけで水は勝手に押し出されて防滑素材の良さを100%生かすことができます。 排水の重要さは雨ではピンときませんが、都会の雪をイメージしてください。北国のパウダースノーではなく、いやらしくまとわりつくあの「べちゃ雪」です。都心だとアイスバーンで滑るだけでなく、靴底に雪が詰まって足をすくわれることがほとんど。いちいち雪が取れてくれればいいのですが、まさに雪だるま方式で一度詰まってしまうと手に負えません。小手先の素材ではも効き目に限界があります。だから、排水・排雪がキモなのです。 各国の軍隊のアーミーブーツに使用されている靴底も細かいデコボコではなく、ダイナミックな柄の「パナマ・パターン」と呼ばれる泥や土を歩くたびに自動でふるい落とす仕様が採用されています。ベトナム戦争で培われた技術ですが、文字通り死線をかいくぐった工夫がなされているのです。それを現代の都市用に昇華させたのがスポーツメーカーの靴底と言っていいでしょう。

さらに便利なゴアテックス仕様

タウンユースでの滑りづらさを重視する場合、「ゴアテックス」は外せません。ゴアテックス=完全防水・防雪ということなので、当然ですが豪雨を想定してつくられています。もともと技術力がないとゴアテックスをつかった靴は作ることができないので、革靴であろうと、カジュアルシューズであろうと、手抜きの靴はほぼないと言っていい。 タウンユースであれば、アウトドアシューズよりもウォーキングシューズのゴアテックス。これで間違いありません。個人的に過去一番滑らなくて驚いたのはミズノの「ME-05 GTX」です。
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オフィスカジュアルでも違和感なしのゴアテックスモデル。ミズノ「ME-05 GTX」。1万4960円。写真は公式HPより

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見事な排水仕様

あまりに滑らないので試しに雨のアスファルトで三段跳びをやってみたのですが、滑りませんでした。底自体も厚いとは言えないのに、ミズノエナジーという超反発素材が詰まっているので、底の薄さと歩いた時の弾み心地のギャップにいつも脳がバグる逸品。 ミズノのみならず、これが令和のスポーツメーカーの技術です。また、前述したアシックス「テクシーリュクス」にもゴアテックス仕様がありますので、こちらも有力な候補となります。

歩き方も重要だが……

雪の日や大雨の日の天気予報では、「歩き方に気をつけましょう」と言われますが、そう簡単にできません。こける靴であれば必ずこけます。野外用は野外に。アスファルトの上はそれなりのものを、と割り切って使い分けることが一番の早道です。 雪の日に大股で歩く人は誰もいませんが、ちょこちょこした「ペンギン歩き」でもこける人はこけます。スポーツメーカーのデータの蓄積は常人の考えている何十倍、何百倍もの量があります。雨の日・雪の日用の靴には、難しく考えずに、思い切ってメーカーの最新技術に身をゆだねてしまいましょう。
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ
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