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お総菜の「RF1」がコロナ禍で苦戦した意外な理由。“郊外に出店する施策”はどう転ぶか

企業としての強み、人気の理由は?

ロック・フィールドの強みは、原材料の仕入れから生産、物流、商品の販売まで一貫して行う「生販一体」。仕入、生産を店舗ごとではなく一括で行うことにより品質の安定化を実現し、物流面ではチルド温度帯(1~5℃)を維持することにより、総菜の味を損ねることなく店舗へ輸送しています。また、店舗ごとに調理する必要がないため、「生販一体」体制は価格安定化にも貢献しています。 とはいえ生販一体だけでなく、純粋な商品力も同社の成長を支えた主要因の一つです。高価格帯とはいっても それに見合った品質の高いサラダや肉・魚類の総菜を提供しており、食卓に一品あるだけでも嬉しい存在です。 例えば「フルーツトマトと甘とまとのジェノバ風サラダ」や「北海道産帆立と海老のハーブグリルとローストポテト」など、レストランでしか見かけないような総菜があります。デパ地下に寄ったときについ買ってしまいたくなる総菜が多く、口コミを見ても高い評価を得ていることが分かります。 そういった意味で1992年にブランド名を統一したのは正解であり、統一していなければ高い認知度を確立できず、現在ほど店舗数を拡大できていなかったかもしれません。

意外にも内食需要が追い風とならず…

さて、近年の業績ですが、2019/4期から2023/4期の業績は次のように推移しています。 【株式会社ロック・フィールド(2019/4期~2023/4期)】 売上高(全社):510億円→477億円→438億円→471億円→500億円 売上高(RF1):339億円→303億円→276億円→293億円→309億円 営業利益(全社):24.2億円→4.8億円→11.1億円→21.6億円→15.0億円 20/4期は商業施設の客数減や百貨店の閉店に加え、終盤はコロナ禍における商業施設の一斉休業の影響を受けたようです。翌21/4期もコロナ禍の影響を受け、さらに業績は悪化しました。 同社が展開するブランド店は主要駅周辺の百貨店や駅ビルに集中しており、外出自粛の影響を強く受けた形です。内食需要の増加は追い風とはならなかったようです。 また、外食チェーン各社が導入してきたテイクアウト・デリバリー需要に客を奪われた可能性も考えられます。22/4期はなんとか持ち直したようで、コスト削減にも成功し営業利益は増大しました。
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新規施策の効果は果たしてどう転ぶか
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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