──ニジマスが解散してソロ活動がはじまったこの1年は、どんな活動をしてきたんですか。 森：普段は、劇団ひとりさん、内藤正樹さん、志田音々さんとのラジオ番組『劇団サンバカーニバル』（FM FUJI）に出演しています。それから、11月3日には、初主演映画の『恐解釈 花咲か爺さん』が公開されました。 ──主演映画！ 撮影はいつ頃だったんでしょうか。 森：7月末くらいに撮影しました。グループ活動中にメンバー全員でドラマに出たことはあったんですけど、そのときはメンバー全員が演技初挑戦だったので、上手くできなくてもあまり焦りがなくて。でも今回は、一人だし主演です。周りの方も「この子は初めてだから、できなくて当たり前だよね」という扱いをしないじゃないですか。だから、気持ちが大変でした。 ──森さんの役柄は？ 森：『恐解釈 花咲か爺さん』はホラー作品。ホラーって現実にはなかなかないことがいっぱい起こりますよね。私が演じた役は、その異常な状況を受け入れていなくて、すべてに驚いたり怖がったりする、観客のみなさんと同じ立ち位置の女の子です。 ──主演はオーディションで決まったんですか。森さんにオファーが来たんですか。 森：突然オファーをいただいたんです。びっくりして「え？」と思って、しかも主演と聞いてさらに「ええっ？」って。タイトルが『花咲か爺さん』なので、おじいさんが主役の作品かなって思ってたんですよ。やると決まったら一生懸命演じさせてもらいました。 演技のお仕事は、すごく勉強になったし、いい経験になりました。100％楽しかったかと聞かれたら、もちろん楽しいだけじゃなくて精神的につらかったし、「私ってこんなにできないんだ」「こんなときに涙も出せないんだ」ってショックもあったんですけど、これからもいろんな役をやってみたいなっていう気持ちになりました。 ──いいですね。「演技したいです！」ってたくさんアピールしていかないと！ 森：でも、映画を見た人に「大したことないな」とか「下手だったな」とか言われたら、やりたい気持ちを隠してしまうかもしれない。「意外と良かったね」とか「すごいじゃん」って言われたら、自信を持って「またやりたいです！」って言えるんですけど。 ──え、もったいない！ 良い評価が聞こえないと自信がなくなっちゃうのは、グループ活動をしていた頃からですか。 森：そうかもしれません。元々カラオケや歌うことが大好きな中学生だったけど、アイドルグループに入って歌ってみると「あれ？ 私下手かもしれない」って気づいちゃって。たまたま私の歌を聞いた人が、ネットに「下手」って書いているのを見てしまうことも……。そういうことが重なって「歌が好き」と言えなくなって、楽しかったカラオケにも行けなくなってしまいました。 ダンスも、ステージで踊ることもレッスンも大好きだったんですけど、別に上手いわけじゃないって思ってたから「ダンスが好き」って言えなくて。ずっと「歌もダンスも別に……」みたいな態度でいました。解散して初めて、ダンスの先生に「実は、私はダンスが好きでした」って言えたんですよ。 ──自信がないと「好き」という気持ちを表せなくなっちゃうんですね。ファンにたくさん褒めてもらわないと！ 森：誰かに「あいつ、好きなくせに踊れないんだ」とか「下手なくせに、好きって言ってる」とか思われるのが嫌で。だから「別に好きでも何でもないから上手じゃないんですよ～」っていう顔だけはしてました。 ──じゃあ、そんなしがらみは関係なく、いま「森さんの興味があることを、何でも一つ仕事にしていいよ」と言われたら、何がしたいですか。 森：旅に出たいです！ 自分が元気で、どこにでも行けるうちに、見たことないものや食べたことがないもの、出会ったことがない人とか、そういうのを知っておきたい。以前は、何十万円もお金をかけて旅行するなんて無駄じゃない？ と思ってたんですよ。でも、海外旅行によく行く父と母の姿を見ていて、ここ2～3年くらいでそう思うように変わりました。一生日本で暮らすんだと思っていたけど、いまは日本と違う世界にも興味があります。