月額2000円越えでも国内シェア2位の「U-NEXT」。他のサブスクと一線を画す戦略が勝因か
化学メーカーで勤務を行う傍ら、経済本や決算書を読み漁ることが趣味のマネーライター・山口伸です。『日刊SPA!』では「かゆい所に手が届く」ような企業分析記事を担当しています。
さて、今回は株式会社USEN-NEXT HOLDINGSの業績について紹介したいと思います。同社は2017年、経営統合したことで生まれました。U-NEXTがUSENを吸収合併した形ですが、実はUSENがU-NEXTの母体です。そして社名を見る限り、店舗向けに音楽を配信する有線放送事業と動画配信サービスである「U-NEXT」事業を手がけていることは分かりますが、それ以外にも店舗向けDXやエネルギー事業も展開しています。本記事では、歴史も複雑で事業も多岐にわたるUSEN-NEXT HOLDINGSについてまとめてみました。
USEN-NEXT HOLDINGSは1961年に創業した大阪有線放送社をルーツとしています。店舗向けにBGMを提供する有線放送事業で成長。「有線」といえば同社のサービスを意味するようになりました。電柱の無断使用といった問題を抱えていましたが、1998年に2代目の宇野康秀氏が引き継いでから他事業へ積極展開するようになります。
2001年に東京都の一部地域で光ファイバーサービスの提供を開始し、2005年からNTTのブロードバンドサービス「フレッツ」の販売取次事業を始めるなどネット回線事業の展開を強化しました。そして同年中に社名を株式会社USENへと変更し、2006には店舗・病院向けの業務管理システムや自動精算機を生産する株式会社アルメックスを子会社化しました。
その後は動画配信サービスを強化します。2007年に現在のU-NEXTの元となるテレビ向け動画配信サービス「GyaO NEXT」の提供を開始後、2009年にU’sブロードコミュニケーションズを設立しました。そしてGyaO NEXTのブランド名を「U-NEXT」に変更し、U’sブロードコミュニケーションズの社名も株式会社U-NEXTへと変更されました。
つまりU-NEXTはUSENから生まれたのです。2012年からはテレビに限定していた動画配信サービスをPC・スマホにも展開したことで、U-NEXTはさらに成長しました。2014年に東証マザーズ市場に上場後、15年に一部上場へと鞍替えしています。
そして2017年にU-NEXTがUSENを吸収する形で両者は統合し、現社名である株式会社USEN-NEXT HOLDINGSとなりました。U-NEXTが展開していた新規事業にUSENの営業力を活用することが統合の目的だったようです。
ルーツは「大阪有線放送社」
「U-NEXT」誕生以降も順調に成長
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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