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月額2000円越えでも国内シェア2位の「U-NEXT」。他のサブスクと一線を画す戦略が勝因か

各事業が好調を維持する理由は…

他事業も時代の波に乗って成長しました。店舗サービス事業では祖業である音楽配信の契約件数が減少したものの、それを上回るペースで店舗DX関連サービスの売上が伸び、全体として売上高も増えました。背景には人手不足や人件費の高騰があります。通信事業については個人向けが軟調だったものの、法人向けのICT・光回線事業が順調に推移しました。USEN-NEXT HOLDINGSは各地にある営業窓口で複数商材を扱えるマルチベンダー戦略を強みとしています。店舗向けにネット回線を売り込む際、クロスセルとしてDX商材や自動精算機といった他商材をまとめて提案できる点も事業全体の底上げに貢献したようです。 動画配信、DXと近年成長が著しい商材を扱い成長してきたUSEN-NEXT HOLDINGSですが、市場環境は良好と認識しており、同社は今後もしばらく成長が続くと見込んでいます。2024年8月期は売上高3,000億円、営業利益240億円という予想です。 様々な企業が出す市場予測でも動画配信サービスの需要は伸びるという結果が出ており、U-NEXT事業は確かに今後も伸び続けるかもしれません。一方、外食産業では人手不足が課題となっていますが、アフターコロナで外食産業の需要は戻りつつあり、以前の水準を上回る飲食チェーンも現れています。 そのため、店舗サービス事業も好調が続き、全社としてしばらく成長が続くことでしょう。祖業の有線事業だけを手がけていれば早々と規模を縮小していたはずです。近年におけるUSEN-NEXT HOLDINGSの成功は2代目の手腕が現れた形と言えます。 <TEXT/山口伸>
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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