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動画配信サービスはアニメ、韓ドラが不動の人気。“おうち時間の充実”の先とは

 コロナ禍によるライフスタイルの変化やおうち時間の増加によって、日々の暮らしをどう充実させるかに注目が集まっている。  巣篭もり需要が生まれ、生活者のニーズが多様化するなか、急激に関心が高まったと言えるのが動画配信サービスだ。  YouTubeやAbemaTVといった無料コンテンツが充実しているものもあれば、Hulu、Netflix、Amazonプライム・ビデオ、DAZNなど、月額サブスクリプションで楽しめる動画配信サービスもあり、それぞれの趣味嗜好によって使い分けていることだろう。  そんななか、数ある動画配信サービスの中でも見放題の作品数が22万本以上を誇るのが「U-NEXT」だ。2007年にローンチして以来、国内の動画配信サービスを牽引する日本最大級のサービスとして不動の地位を築いている。
本多利彦

株式会社U-NEXT COOの本多利彦さん

 今回は、株式会社U-NEXT COOの本多利彦さんに、動画コンテンツにおけるトレンドの変遷や将来像について話を聞いた。

スマホの登場と権利関係がクリアになったのが転機に

本多利彦 U-NEXTはVOD(Video On Demand)市場の黎明期にサービスを始めており、いわば日本における同市場のパイオニア的存在として市場を切り開いてきた。  本多さんは当時の状況を次のように振り返る。 「家庭用のテレビに接続して映像を視聴するセットトップボックスが主流だった頃は、ハリウッド映画やアニメ、テレビドラマが主なコンテンツでした。今と比べて映像作品の権利が非常に厳しく、自由度が制限されていたのもあり、サービスを利用する多くはデジタルに強い人が中心だったんです。また、レンタルビデオ店が全盛の時代だったので、動画コンテンツを観るならビデオやDVDを借りるというのが一般的だったわけですね」  こうしたなか、「VOD市場を変えるような転機が2度訪れた」と本多さんは続ける。 「2010年以降、これまで3G回線のフィーチャーフォン(ガラケー)で動画のショートコンテンツを見るのが主流だったのが、スマートフォン(スマホ)の登場によって、『携帯で動画を視聴する』というライフスタイルが形成されていったことが1度目の転機だと考えています。  ここから、テレビでもPCでもスマホでも動画を楽しめる“マルチデバイス時代”が始まり、動画配信サービスが徐々に注目されるようになってきたんですね。さらに、同時期にYouTubeが普及してきたのも、動画コンテンツがライフスタイルに根付いていった大きな要因です」  また、デジタル配信周りの権利が整備されてきたことも、動画コンテンツの充実につながり、VOD市場の形成に追い風になったという。 「3大動画コンテンツと呼ばれる映画、アニメ、韓流ドラマに関して、当時は使用されている音楽やタレント声優など、権利関係の問題でバリエーションを豊富に揃えることができませんでしたが、デジタル配信が認知され、権利整備が急速に進んだことで各社も差別化しやすくなった。海外ドラマをアグレッシブに集めた『Hulu』やフジテレビ公式の動画配信サービス『FOD』といったプレイヤーも市場の活性化に寄与したと考えています」  そして2度目のターニングポイントは、米動画配信大手のNetflixが2015年に日本上陸を果たしたときだったという。

「〇〇オリジナル」の流れを作ったNetflix

 今の動画配信サービスの盛り上がりや潮流を作ったのは「Netflixならではのオリジナルコンテンツがきっかけになっている」と本多さんは話す。 「この映像作品は誰が作ったのか。クリエイターやキャストはどのような布陣が起用されているのか。など、動画コンテンツを一から作る、あるいは独占配信権を取得して冠をつける『〇〇オリジナル』が、動画配信サービス事業者の差別化コンテンツになっていきました。  オリジナルエピソードやストーリーを提供する際は『どこの配給会社や制作会社とパートナーシップを組み、ユーザーの心に響く作品をどう創り上げるか』というのが意識されるようになったわけです。U-NEXTの場合、このようなパートナーシップの連携やオリジナル作品の供給のみならず、『視聴者が何を見たいか』を常に心がけながら、動画コンテンツを提供しています」
アレックス・ライダー

U-NEXT独占配信の『アレックス・ライダー』

 2020年の夏に公開した新時代のスパイアクション『アレックス・ライダー』は、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)とパートナーを組み、U-NEXT独占配信の動画コンテンツとして提供した。しかも、4Kでの高画質配信を実施している。  また、90年代の米国ゲーム業界におけるセガと任天堂の覇権争いをドキュメンタリー化した映画『セガvs.任天堂/Console Wars』も、ハリウッドの老舗スタジオ「Legendary」(代表作:『ダークナイト』『ゴジラvsコング』など)と組みながら、日本初公開かつ独占配信を行い、好評を博したそうだ。
セガvs.任天堂

U-NEXT独占コンテンツであり、本邦初公開となった『セガvs.任天堂/Console Wars』

 ユーザーの視聴ニーズを汲み、U-NEXTらしさを目指してきたことで、業界最大級のサービスに成長したのだろう。
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動画コンテンツは「アニメ」と「韓流ドラマ」が不動の人気
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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