更新日:2024年01月22日 17:11
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「ごめんなさい」を上司や先輩に馴れ馴れしく使う若者たちの心理。日本語学者が解説

「ごめんなさい」が人をイラっとさせる理由

考える中高年男性「『ごめんなさい』を使われると、舐められているのかなと思う」(30代・男性) 「後輩や部下は気にならないが、取引先だと気になる。『すみません』よりも親しい間柄で使われる言葉というイメージがあるため、『あなたと私は親密な関係だから許してくれるでしょう?』という含みと圧力を感じる」(40代・男性)  こうした違和感や苛立ちを覚える理由について、「『ごめんなさい』は人が最初に学ぶ初歩的な謝罪表現だから、子供っぽさを感じるのでしょう」と松浦氏は話す。 「『ごめんなさい』には幼さがあるだけでなく、とっさに口にしやすいからこそ重みがないと感じられるようです。また、女性のほうが『ごめんなさい』の使用率が高いという研究結果(※2)もあります。幼く、カジュアルに感じる人もいる。だから、ビジネスの場で“ソトの人”に使うと失礼だと思われるのでしょう」

「ごめんなさい」にイラっとする隠れた理由

 また、ごめんなさいにイラっとするのは、文法上の理由もあるのだとか。 「『ごめんなさい』を要素ごとに分解してみると、“御+免+なさい”になります(※2)。御は尊敬を表し、免には許すという意味がある。ただ、なさいが命令形なので、『許せ』と命令されているように感じてしまう人がいるのかもしれません」  ところが、「すみません」や「申し訳ない」は、文法的にも自分の非を認めているフレーズだという。 「『すみません』は動詞『済む』の打消し形。『日本国語大辞典 第二版』によると、『気持ちの上で満足しない・納得しない』という意味があります。『申し訳ない』は、申し訳がない・言い訳もできないという意味(※3)。使い方が広いのは『すみません』のほうですね「すみません」は謝罪だけでなく、依頼や感謝にも使える。何かモノを落として人に拾ってもらったとき、感謝の意味で「すみません」と言うこともあるだろう。 「こうして比較してみると、『ごめんなさい』は謝罪に特化した言葉なんですよね。感謝の意味でも使えなくはないですが、違和感が残ります。カジュアルすぎるのも問題なのかもしれません」
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カジュアルな言葉遣いは「仲良くなりたい」のサイン
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福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0

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