仕事

ゴミ収集業者で働く24歳女性が、仕事中に「意外と楽しい」と思える3つの理由――大反響トップ10

臭いには慣れないけど「意外と楽しい」

齋藤ひなの

ゴミ収集業者の仕事は「ひとりの時間を満喫できる」と話すひなのさん

 働き始めて約1年が経過した。現在の仕事に関して、本音としてはどうなのか。すると、ひなのさんは「自分に向いているなって思います」と笑顔で言う。 「どうしても汚れてしまうし、臭いには未だに慣れないです(笑)。担当ルートもなるべく荷物が軽いように会社が配慮してくれているのですが、それでも男性に比べると力が弱いので大変。だけど、意外と楽しいんですよ」  それには、3つの理由があるのだとか。 「まずは、女性が珍しいのか、街中で子どもやお年寄りが手を振ってくれたり、『ありがとう』とか『頑張ってね』って声を掛けてくれたり、飲み物などの差し入れをいただくこともあります。これが“癒やし”ですね。  次に、ひとりでいられるので気楽。仕事中は、ほぼひとりで作業をするので、人間関係のストレスが無いし、車内で好きな音楽を流してひとりカラオケもできる。あいみょんとかMy Little Loverの曲を口ずさんでいますね。あと、これは私だけだと思いますが、運転中やゴミを回収しているときにダンスの振り付けのアイデアがパッとひらめくことも多いんですよ」

「辞めたいと思ったことはない」

齋藤ひなの

女性ファッション雑誌『ViVi』(講談社)2022年11月号にも登場(提供写真)

 こうしてダンサーや芸能関係の仕事を継続していくための「基盤」がようやく整ってきた。今後の活動については? 「ダンスのプレイヤーとしてはもちろんですが、最初はアシスタントからでもコリオグラファー(振付師)の仕事も学んでいきたい。ただ、上京当時はダンスだけでなんとかしようと、そればかり考えていたのですが、今後は芝居とかもっといろんなことに挑戦してみたいと思っています。  これから芸能の道がどうなるのかわかりませんが、職場に理解してもらえるのは大きい。だから、ゴミ収集業者の仕事を辞めたいと思ったことはないんです。うまく両立していけたらいいですね」  その世界で、いつか成功する日はくるのだろうか。未来とは、雲を掴むようなものだ。夢を追いかける人たちは、現実問題としてシビアに「時間」や「収入」と向き合っている。だからこそ、地に足のついた“今”が、どれだけ心強いのか。ひなのさんの益々の活躍を願いたい。 <取材・文・撮影/藤井厚年>
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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