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“月給40万円で3食付き”の案件も…「着ぐるみの中の人」の実態。夏と冬はとにかく地獄

夏と冬は「とにかく地獄」

着ぐるみのキャラになりきることは、本業である俳優の仕事の訓練にもなると話す金子さん。ただ、時には地獄のようなシチュエーションを体験することもあるとか。 「夏と冬はとにかく地獄です。夏に関しては、暑さがひどい上になかなか給水するのも難しい。酷暑の日などは、3人交代制で着ぐるみに入ることもあります。でも、造形上、空気が抜ける穴を作るのが難しく、常にサウナの中にいるような状況です。しかも、タイトな作りの着ぐるみの場合は、ペットボトルや水筒を持ち歩くのも難しく給水も出来ないことがある。常に熱中症になる危険と隣り合わせで働くことになります。また、冬は冬で足元から体の芯まで冷え切り、震えが止まらなくなる。着ぐるみに入っている間は倒れるわけにもいかないので、緊張感を持ちながら仕事するのでへとへとになります」

着ぐるみ仕事を本業にしても良いかも

さらに、恐ろしいのは着ぐるみに群がってくる子どもたちの対処。 「子どもをメインに相手をしますから、危険と隣り合わせです。ショーを行う場合は触れ合うことが無いので良いですが、園内を着ぐるみがウロウロするタイプの施設は危険度マックス。叩いたり蹴ったりしてくるのはもちろん、悪ふざけで着ぐるみの頭を取られそうになったとしても無言で対処しないといけない。小学生低学年くらいの子はちょうどお腹のあたりに目線があるので、腹部に思いっきりパンチを食らったことは何度もあります。うずくまるわけにいかないので、必死で着ぐるみの中で痛みに耐えています」 気苦労も絶えない着ぐるみの仕事ですが、金子さんはやりがいを感じており、仕事に対しての愛着もあるようです。 「俳優の仕事は舞台が中心で、テレビや映画の仕事は年に数回だけ。しかも、ちょい役やエキストラばかりです。そう考えれば、関東近辺だけでも多くの依頼をいただけるようになったので、これを本職にしてもいいかなと思うこともあります。アミューズメント施設だけでなく、商工会議所などがご当地キャラを作ったりと、着ぐるみは至るところで稼働していますから。現在は、付き合いがある施設や自治体の仕事ばかりで、むしろ新規は断っている状況。信頼を勝ち得たので仕事は山ほどあるし、着ぐるみのプロとして食べていける自信がありますからね」 プロの着ぐるみパフォーマーを派遣する会社もいくつかあり、需要の高さは実証されている。過当競争となる俳優の世界で成功するよりも、着ぐるみで売れる道を選んでも良いのかもしれない。 <TEXT/高橋マナブ>
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている
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