仕事

電通を退職して海外起業した40代女性。夫の転勤を機にタイへ、居場所のない日々から“運命の出会い”を果たすまで

プロの宝石バイヤーの門をたたく

 そこからバンコク中の宝飾店を巡り、交渉を重ねた。問題は、どの店の誰を信用してよいのかさっぱり見当がつかないこと。2020年12月、SATOKOさんは大胆な行動に出る。バンコク在住のプロバイヤーに直談判し、教えを請うたのだ。 「買い付けに60時間ほど同行して、目利きから商談の作法までみっちり学びました。グレーディングの世界は底なしの奥深さ。タイには日本で滅多に出会えない最高ランクの石や希少石がゴロゴロ流通していて、興奮が止まりませんでした」
SATOKOさん

GIAに10年近く在籍していたプロのダイアモンド鑑定士の元で、目利きを習得する日々

 一度興味を持つと、とことん突き詰める性分の彼女は、バンコク開催の日本人向け「宝石鑑別クラス」を45時間受講。宝石鑑定のディプロマ(資格)を取得した。独学でジュエリーデザインを学び、世界最高峰の宝石鑑別機関「GIA」でも学びを深め、いつしか宝石の世界にどっぷり浸かっていた。

「石選び」はその人を表す鏡

 2021年10月には第2子が誕生。家事や育児をこなしつつ、宝石の勉強に情熱を注いだ。宝飾品は、ステータスの象徴や富裕層の贅沢品として捉えられることも少なくない。彼女は「そのような考えは否定しない」としつつ、「それ以上にもっと奥深い魅力があるものです」と力を込める。 「石を選ぶ際は、あらゆる感覚を研ぎ澄まし、『これが一番!』と入魂して選び取っています。その1石を使ったジュエリーを身にまとうたび、自分を肯定し、満たすことができると思うのです
SATOKOさん

希少石「タンザナイト」の超一級品

 1500以上のブースや店舗がひしめく宝石市場に毎日のように通いつめ、宝石卸業者やジュエリー職人との関係もゼロから構築。インド系や中東系、アフリカ系など、やり手宝石商との交渉は一筋縄にはいかない。そこで、体育会系の広告業界で培った彼女のサバイバル力は大きな武器となった。
SATOKOさん

世界中から宝石商が集まる国際展示場にて、馴染みの業者と商談

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「宝石への偏愛」を突き詰めた先で
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バンコク在住ライター。岡山出身。キャリアやビジネスに関する取材・インタビュー記事をメインに執筆中。オンラインで日本の著名人取材も行う。世界41か国に訪問歴がある旅好きです。 Twitter:@pippirotta39

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