山梨発「シャトレーゼ」は世界の“大衆菓子ブランド”になれるか?タイ担当者の意外な悩み
コロナ禍で多くの同業が不振にあえぐ中、山梨発の総合菓子メーカー・シャトレーゼは国内のみならず、海外でも躍進を続けている。
現在(2023年2月)まで、国内ではフランチャイズを中心に約730店舗を展開する一方、海外ではアジア圏をメインに9か国・約160店舗へと展開を加速している。筆者が住むタイでも、2017年に進出してから6店舗まで増えた。
1954年創業のシャトレーゼは、洋生菓子や和菓子、アイスを中心に約450種類の自社商品を手掛ける菓子製造小売り会社だ。中間コストを一切カットし、自社工場から店舗へ直接配送する独自の「工場直売システム」を強みとし、“スイーツ界のユニクロ”とも呼ばれる。
2015年、日本の少子高齢化の現状を見据え、同社はシンガポール出店を皮切りに海外への市場拡大に舵を切った。現地での成功を受け、アジア各国からフランチャイズ(FC)の申し込みが相次ぐように。
「タイは現地法人を作って運営しています。駐在員はおらず、私が月に1度出張ベースで現地指導にきています」(横尾さん、以下同じ)
日本国内では郊外を中心に店舗展開するシャトレーゼだが、海外では都市型の商業施設へのテナント出店がメインだ。バンコク最大のショッピングモール、セントラルワールド内の店舗を訪問すると、レジには行列ができ、大勢の客で賑わっている。
「タイでは200種類の商品を販売しています。売れ筋はいちごのショートケーキとアップルパイで、どの国でも人気ですね。タイでは最近、ホールケーキの販売が好調で、売り上げ構成比のほぼ20%を占めています」
タイで他の国より売れているのは、和菓子とジュレだという。和菓子で特に人気のいちご大福は、ケーキと一緒にショーケースに並んでいる。
「モチ食感がタイの方のお口に合うようです。いちご大福は洋菓子と和菓子をつなぐ中間アイテムとして、他ジャンルのお菓子に興味を持つきっかけにしてもらいたくて、このようにディスプレイしています」
シャトレーゼはなぜ海外でも強いのか。シャトレーゼ海外事業部、タイ・ベトナム担当の横尾隼東さんに、タイ事業をメインとした現状や、今後の展望について聞いた(※情報は取材時。1タイバーツ=約3.9円として換算)。
“スイーツ界のユニクロ”が海外でも躍進
タイでは和菓子とジュレが人気
バンコク在住ライター。岡山出身。キャリアやビジネスに関する取材・インタビュー記事をメインに執筆中。オンラインで日本の著名人取材も行う。世界41か国に訪問歴がある旅好きです。
Twitter:@pippirotta39
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