仕事

外回りから帰ってこない新入社員。“行き先”を尋ねると、驚きの答えにア然

②外回りと見せかけて…

ビジネスバックを持った男性の手元日中、公園やコンビニエンスストアなどで休憩しているサラリーマンを見かける。取引先へ訪問する“外回り”の特権だ。筆者も外回りをしていた頃は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)が読めるコンビニを先輩から教えてもらい、訪問が早く終わった際には立ち読みしたこともあった。 「一本だけタバコを吸うとか、一杯だけコーヒーを買うとか、普通は“サボる”といってもその程度です。でも彼のサボるレベルは、ちょっと度を超えていました」 ペーパーレスが進んでいる銀行だが、やはり紙文化は根強い。取引先が書類を誤って記入してしまった場合は、日にちに余裕があれば郵送で対応する。しかし日にちに余裕がない場合や、明らかに行員に落ち度がある場合は、取りに行くこともある。その役目はだいたい新入行員が担う。 「店から徒歩10分の取引先に行った新人の彼が、いつまで経っても帰ってこない。電話をしても出ない。何か事件に巻き込まれたんじゃないか? と不安になっていたところ、彼はしれっと帰ってきました」 帰店した彼からは良い匂いが漂ってきた。それが彼のいた場所を物語っていたという。「銭湯に行ってたの?」と尋ねると彼は一瞬、ばつが悪そうな表情を浮かべた。しかしその後の反応は、Aさんを驚かせるようなものだった。

開き直り、明るく説明

彼は「違いますよ。サウナです」と開き直って答えたらしい。 「ちょっとでも時間があるとサウナに入れることを“サウナチャンス”って言うんだとか、TikTokでバズってるサウナが取引先の近くにあったとか、楽しそうに説明してくれました」 かつてないほど生き生きとした顔をした彼に、Aさんは怒る気力も失ってしまったのだという。「好きなものに熱中するのはいいけど、業務外でやってね」と軽く注意をする程度にとどめたらしい。彼は後に地方店へ転勤した。今頃は好きなだけサウナに入っているのだろうか。
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ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother

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